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ただただ、辛かった。
何がつらいって、足の傷の痛さやシルクが夢とはいえあんなことを思っていたことではなく。
……俺自身が、シルクを少しでも“疑ってしまった”ということ。
情けなかった。
前も似たようなことがあったじゃないか。
その時シルクはなんて言った？
[防がなくていい。
傷ついたら「傷ついた！」って泣き喚け。]
[俺達の前では耐えなくていい。]
[もう、耐えんな。我慢すんな。]
ほら、もう答えなんて分かりきってるじゃないか。
シャワーの温度を一気に下げて、頭を冷やす。
『……っ、つめた。』
そのおかげで妙にすっきりした。
身も心も。
『うわ、そんで痛いな。やっぱり』
思い切り踏んで傷だらけの足も、ジンジンとした感覚が戻ってきた。
＿＿＿＿＿＿＿＿昔の俺とは違う。
『惑わされるもんか、もうこんな感情なんかに。』
キュッ、とシャワーを止め脱衣場に戻って携帯の電源を入れるとたくさんの不在着信とLINEが入っていた。
差出人はやっぱり彼で、そして内容も心配するような文面ばかり。
そうだよね、連絡をマメにする俺がいきなり音信不通になったら驚くよね。
『……“今から行くよ”っと。』
そう送った時の俺の頭の中は、動画のことでいっぱいで。
自然と長くなった髪を結って、帽子を被った俺は誰もいない部屋に『行ってきます』と呟いた。
【いってらっしゃい、僕。】
小学生の時の泣き虫な僕の声が、聞こえた気がした。
end.
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カイ - 感動してます。更新待ってます！ (2020年1月11日 20時) (
レス) id: 7192b6431b (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - エイジくんの話…書いてくれてありがとうございます… (2019年2月2日 20時) (レス) id: 5083d910a8 (このIDを非表示/違反報告)
?ひまわり?(プロフ) - えいちゃんの話・・・(´TωT｀)書いてもらえて嬉しかったです。感動です (2019年1月30日 20時) (レス) id: 19333092ac (このIDを非表示/違反報告)
まちゅ@三度目の正直(プロフ) - エイちゃんの話、感動です(´；ω；｀)書いてくれてありがとうございます。 (2019年1月30日 19時) (レス) id: b1133c30ec (このIDを非表示/違反報告)
琳寧冬月(プロフ) - 続き読みたいです！頑張ってください！ (2019年1月20日 22時) (レス) id: 9d24b8e5ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てぃろ | 作成日時：2017年7月17日 9時
