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赤色 ページ32

『……ごめんな』





情けない、小さく呟いた俺の声。






「動画撮ろうよ、おしる〜」






その声が最後だったっけ?





声……だったっけ?







そう思ってLINEを開くと、既読がついていない俺のメッセージ。



『すぐにはできそうにないわ〜
またスケジュールあったら撮ろ!!』




嗚呼、ああ、アア。




どうしてどうしてどうして




「馬鹿だ、馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ。」




俺は、当たり前だと思い込んでいたんだ。



一番わかっていたはずじゃないか。



病気を患っているメンバーが側に居るからこそ、心のどこかで慎重になっていたじゃないか。




それは、人間平等にあり得ることだというのに。




ンダホ「伝わるよ、絶対。」

マサイ「俺らの分まで力いっぱい叫べよ?」

モトキ「ほら、みんな待ってるよ。」

ぺけたん「行こう?シルク。」



顔を叩いて、ウオタミさんが待つステージへと向かう。

イベントの公演が大成功に終わって、彼について語った。



俺らの方が先輩なのに、実際に彼らに会うと緊張していたこと。


つい使ってしまっていた敬語に「敬語なんてやめろよ〜!」と言ってくれたのは彼だったこと。



マイクを置いて、流れっぱなしだった涙を顔を洗うように拭う。






『おしるさんだよ〜ッ!!聞こえてる?』







やっぱりしんみりしてたら俺達らしくないよな。

でもごめんね。








『声出すねぇえええッ!』









泣きながら叫ぶ見苦しい俺を許してね。









きっと「きもちわる〜!」って、笑ってるんだろうな。


そんな彼の笑顔を思い出しながら叫んだ。







『YouTube fight!』

「「「おぉーッ!!」」」







聞こえた?



こんなに沢山の人が叫んでくれたよ。









『……ありがとうございました!』






次の日、イベントの公演を終えたあとのステージに経つと俺の足元には7色あるテープの赤だけが10本以上残っていた。



これ、絶対見に来てくれてたんじゃない?



そう思って1枚だけ持って帰った。









「俺の事、好きすぎじゃない?」









そんな声が、聞こえたような。



……聞こえなかったような。





end.

拒食→←**



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カイ - 感動してます。更新待ってます! (2020年1月11日 20時) (レス) id: 7192b6431b (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - エイジくんの話…書いてくれてありがとうございます… (2019年2月2日 20時) (レス) id: 5083d910a8 (このIDを非表示/違反報告)
?ひまわり?(プロフ) - えいちゃんの話・・・(´TωT`)書いてもらえて嬉しかったです。感動です (2019年1月30日 20時) (レス) id: 19333092ac (このIDを非表示/違反報告)
まちゅ@三度目の正直(プロフ) - エイちゃんの話、感動です(´;ω;`)書いてくれてありがとうございます。 (2019年1月30日 19時) (レス) id: b1133c30ec (このIDを非表示/違反報告)
琳寧冬月(プロフ) - 続き読みたいです!頑張ってください! (2019年1月20日 22時) (レス) id: 9d24b8e5ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てぃろ | 作成日時:2017年7月17日 9時

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