両想い…なんですね。 【ハイキュー】 【日向翔陽】

第1セット。 ページ49

選手の紹介が始まる。
なんとなく、白鳥沢の方が、慣れてる王者感があって、こっちが恥ずかしくなった。

ピーっ！

空間をつんざくような笛の音で、第1セットが始まった。

早速、ボールが宙に浮いた。
私は、見失わないように、必死にボールを追う。

だって、みんなのスーパープレイ見逃したらもったいないもんね。

トスが、牛若に上がった。
全国の三本指…月刊バレボーでも、よく紹介されている。
まさか、生で見れるなんて…

私は、すでに今までの試合でドライアイ気味の目を見開いて、すがりつくように見た。

綺麗な弧を描くボール。
ため息が出るほど美しい空中姿勢…

バシンッ

そして、この威力…
しかし、打った先には西谷さんが…

これはとらえられた！？

しかし…ずれたのかレシーブを弾かれてしまった…
おしい。とらえられたと思ったのに。

仁花ちゃんと二人で不思議そうな顔をしていると、月島くんのお兄さんが、得意げに話してくれた。


月兄「ふだん、右利きの選手と試合することが圧倒的に多いからね。レシーブは、わずかなズレで弾かれてしまうから、左利きのボールをあげるのはむずかしいんだ」


『なるほど…』


私たちが、納得した表情をすると、嬉しそうに爽やかな笑顔を浮かべた。
日向の妹のなっちゃんと翔陽くんはすごく似てたのに…

兄弟ってこんなにも似ない場合があるんだな…
まぁ、私もお兄ちゃんと似てないけど！

牛若のそもそものパワーや、技術に加えて、左手の脅威…
月島くんのブロックも、いとも簡単に吹き飛ばされてしまった。

烏野、大苦戦の中、西谷さんの雰囲気が変わった気がした。
獲物を狩る肉食獣のような目に、ちょっとゾッとした。

また、牛若のスパイクが飛んできた。

バシンッ

相変わらずすごい音…
しかし、今回は…

なんと、ボールが高く上がったのだ！


「「あ、あがったーっ！」」


その下には、西谷さん。
す、すごい…私だったら、複雑骨折してそう…
私たち、応援席も大歓喜！！

応援の声に力が入る。
その後、烏野も追い上げるも、一セット目は、取られてしまった。

悔しいけど…ボールをあげられたってことが、すごい進歩だよね！


冴「いーぞー！みんな！いっけぇーっ！」


冴子おねぇさんにも負けないように、私たちも大きな声で叫んだ。


『が、がんばれーっ！』


翔陽くんは、気付いて小さく手を振ってくれた。
私も慌てて繰り返す。

しばらくして、また笛の音が鳴り、第2セットが始まった。

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