その涙を拭いたい (ページ33)

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32話ページ33

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紫耀side

岸くんの廉に対する気持ち
それがメンバーに対してのものだとはどうしても思えなかった

俺に向ける岸くんの視線、表情が告げてくる
岸くんはきっと廉の事を...

岸「好きだよ。」

紫「...」

やっぱりという感情と、それはどう意味？と思う感情で複雑な気持ちになり何も言えない俺に、岸くんはいつも通りの表情で「話はそれだけ？じゃあ今度こそ戻るわ。廉が待ってるし」と言って病室に戻って行った

しばらくそこから動けなかったけど、頭の片隅で戻らなければと思ってようやく足を動かす

ガラリとドアを開けると、

廉「うーん、やっぱり上手く食べれへん..」

岸「大丈夫だって。あ、ほら..ほっぺたについてるよ」

廉「え～？優太とって！」

岸「はいはい。」

スプーンを使って一生懸命自分でご飯を食べながら時々岸くんに甘える廉と、そんな廉をサポートしつつ甘えを受け入れる優しい目をした岸くんがいて
メンバーやマネージャーさんはその光景を優しく見守っていた

それは、今の俺には正直きつすぎる光景だった
自業自得なんて事も分かってる

それでも、俺といる時よりも自然体で岸くんを信頼しきってる廉の姿と、全てを受け入れて優しく接する岸くんの姿が眩しくて、お似合いで、辛かった

2人を直視出来ずにそのまま顔を横に向けると海人と目が合う

事務所で見せた表情とは打って変わって心配そうな顔つきを俺に向けている

きっと、俺と廉の関係性を知ってる海人に普通に接するのが正解かもしれないけど、そんな余裕なんてなくて
そのまま顔を俯かせ、ただただ行き場のない感情を募らせるだけだった

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