その涙を拭いたい (ページ30)

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29話ページ30

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紫耀side

室内にいる全員の視線が俺に向くのが分かる

紫「...いるよ..。」

廉「..そっか。来てくれたんやな。迷惑かけてごめんな？」

紫「別に、」

こんな状態の廉を目の前にしても相変わらずの返答しか出来ない自分をぶっ飛ばしたくなる

再び静寂に包まれる室内
それを破ったのはノックの音だった

廉が返事をして入ってきたのは白衣を着たお医者さんで、審査結果を伝えに来たとの事

神「あ、じゃあ俺達は出た方がいいですか？」

神が気を使ってそう聞くとお医者さんは首を横に振り「皆さんにも聞いていただきたいです」と言う

「永瀬さんの目の事ですが、永瀬さんの視力は今完全に失われています」

紫「は？」

玄「ちょっと紫耀。やめなよ」

思わず声が出てしまい、隣にいた玄樹に諌められる
視力が失われてるって、何も見えてないって事だよな？

「詳しい検査をした結果、永瀬さんの視神経に特に異常は見つかりませんでした。..ですので、恐らくですが原因は精神的な物と思われます」

静かな部屋に誰かが息を呑む音が聞こえる
俺はお医者さんの口から発せられた言葉の意味を一生懸命咀嚼していた

「永瀬さんが元通りになるには周りの方のご協力が不可欠だと思います」

そう言った後にお医者さんは入院についての話を始めた
入院は廉本人の強い希望もあり2、3日で退院するそうで
退院した後は仕事をこなしつつ、目が元通りになるまで岸くんの家にいる話になっているらしい

...なんで岸くん家なんだよ..
家に帰ってくればいいじゃん..

廉が岸くんに頼る事に苛立ちが募るが、メンバーやマネージャーさんの前でそれを出す事はしないで、自分の中に留めておいた

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