２３，感情の起伏に惑う ページ25
【you side】
「今の曲もそろそろ終わりそうですね」
『えぇ
タイミングが良かったみたいです』
近づくにつれハッキリと聞こえる曲はCメロが終わり、アウトロへとちょうど切り替わった。
会場に近づくにつれ、なんとも言えない喪失感に襲われてしまう。
(中に入れば、私はこの方と別れて第二王子の元へ戻らなければならない)
１秒でも長く、この満たされた時間を過ごしたい
そんな私の考えとは裏腹に足場が舗装された道まで来ると、彼は足を止める。
「………すみませんがここで…
実は、まだ少し用がありまして」
『用…？』
明るい会場を見た私の目は、暗がりにいる彼を今だにハッキリと見ることができなかった。
手袋越しの温かさに惜しさを感じながらも、その離れていく手を引き止める事は憚られてしまう。
『……ありがとうございました
また後ほどお時間がありましたら…お話できれば…嬉しく思います…』
なんとか絞り出した言葉は拙く、自分が発しているとは思えないほど弱々しい声色だった。
不甲斐ない…
「…えぇ、もちろんです
では、失礼します」
流れるようにお辞儀をして、背を向けた名前も知らない彼の姿を、再び闇に慣れ始めた目が捉える。
黒い髪に緑色に見える軍服…そして…
『赤いマフラー……』
彼の姿が建物の影に消えるまで見送った後、私は賑やかな会場へと戻る。
先程まで流れていた曲は切り替わり、会場の中央にはダンスをする人々の輪が大きく広がっていた。
(私が離れている間にかなり増えたようね…)
それより第二王子はどこにいるのだろう。
あまり女性が一人で歩き回るのは良くない。
大抵はパートナー、もしくは友人や知り合いと一つの小さな集団を作って行動する。
今の私は肝心のパートナーが見当たらず、さらに社交界からは距離をおいていだが故に該当する交友関係は持っていない。
＿大丈夫ですか？＿
あの方との身近な時間の心地よさとは打って変わり、自己嫌悪に蝕まれかけてしまう
(だめよ……私がしっかりしないと……！
必要のない感情に惑わされてはダメよ)
感情の起伏から逃げるようにして、私は背筋を伸ばして再び会場の隅から隅までを見渡していく。
しかし、第二王子を見つけることができないまま時間が過ぎてしまい、夜会はその幕を下ろすのだった＿＿＿＿＿
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ルティ(プロフ) - 1さん» 時間がある時に更新していくので、是非最後までお付き合いください♪(*´꒳`*) (9月1日 18時) (
レス) @page28 id: 2e4d945607 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 凄く面白いです。この後の展開がとても気になる。賢い女の子サイコー！ (8月28日 20時) (レス) @page28 id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティ(プロフ) - 推しが尊い国民☆さん» そう言って頂けてとても嬉しいです♪ありがとうございます！！頑張って更新するので、是非続きもお楽しみに！d(^_^o) (2023年5月1日 12時) (レス) id: 2e4d945607 (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊い国民☆(プロフ) - ひやぁぁぁぁ!!!!!めちゃくちゃ大好きです!!!!!なんとなく誰が誰が予想？がつくというか…表現がとても分かりやすくて、内容がスラスラと入ってきます!!!!!とても面白いです!!!!! (2023年4月20日 22時) (レス) @page15 id: af4a079e32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルティ | 作成日時：2023年2月18日 14時
