特級呪術師から逃げれるはずがなかった

漆話目 ページ8

家に帰って、通帳と簡単な荷物をまとめた。


逃げよう。どうせ無理なら最後まで足掻こう。

あ、今のなんかフラグっぽい。やっぱなしで。



友達の家に転がり込むのもありだけど、呪術界のゴタゴタにあまり巻き込みたくない。ネカフェに行くか。

……いや、どうせなら──


◆◆◆

電車に揺られてる。

今いるのは千葉県。向かっているのは南房総。チーバくんの足(？)のあたりである。チーバくんで調べればわかる。




どうせなら東京から出よう。みたいなノリである。

一度海に行ってみたかったのだ。東京の海よりも綺麗だと思って来てみた。本当は沖縄とか行きたいけど、お金が無い。景色はどんどん変わっていき、ビルとかが無くなって一軒家が多くなって、少し実家を思い出した。




人が少ない電車には私以外人がいなかった。
人がいないのをいいことに窓を開けた。風が気持ちいい。息を大きく吸う。


こんな平和な世界に呪いなんてものが本当にあるのだから不思議だ。

見えない私にはわからない。
見えてた婆ちゃんはどんな気持ちだったんだろうか。



「もし、捕まったら……どうなんだろ。連れ戻されて、殺される？流石にそこまではしないか」

窓枠に腕をかけて、子供が窓の外を見るような体勢をとった。はしたないけど、人いないし。

「なんであの人はずっと黙ってたんだろう。何かあったのか…？でも、次はもうないだろうな。情状酌量の余地はねぇか」





「うん、ないよ。よくわかったね」

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