陸話目 ページ7
───平穏とは不意に崩れ落ちるものである
◆◆◆
砂上の楼閣という言葉がある。
平穏というものはまさに砂上の楼閣で、ぬるま湯に使っていた私は突然冷水を被った。
「大丈夫?おねえさん」
初めから全てを知っていたであろう常連さんは乾いた声で笑った。
しつこいナンパに困っていたところを助けられた。私をナンパしてなんの得があるのだろうと甚だ疑問ではあるが、女であれば誰でも良いのかもしれない。でもまあそのナンパから助けられた。
今日は色の濃いサングラスだった。
でもそれは布に比べれば顔の造形なんて丸わかりなわけで。
彼の目をしっかりと見てしまった。
あの美しすぎるブルーを私は見たことがあった。直接はないけど、一度写真で見たことがある。
──五条悟だ
「ぁ、……あぅ…うそ…」
助けられた恩も忘れて彼の手を振り払った。
それでも、ペタンと地面にしゃがみこんでしまった。震えて立てない。
それでも何とか足を叱咤して立ち上がり、恐怖に思考を占領されながらも、私は………
───逃げた
回れ右をして、震えてた足が嘘みたいなスピードを出した。
彼が五条悟ならこんなことで逃げれるとは思ってなかった。でも、それでも、無理だった。逃げなくてはと脳が命令を下していた。
逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ。いつからバレてた。いや既に全部知ってたんだ。知ってた上でずっと通ってたんだ。あの店に来た時からずっと!油断してた。三年もの間私は何をしてた。呪術も使えない私が五条家から逃げれるはずがなかった。何を勘違いしていた。ずっと泳がされてたんだ。
彼は追ってこなかった。
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みかん - 更新待ってる (1月3日 23時) (レス) @page17 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
miuna(プロフ) - 私も他の皆さんと同じで更新待ってます(泣) (7月24日 1時) (レス) @page17 id: f392b85cff (このIDを非表示/違反報告)
琥 - お、終わり…スゥー‐‐いや待っていますずぅーーっと正座待機しています!! (7月10日 15時) (レス) @page17 id: 0bc178810c (このIDを非表示/違反報告)
みろく - に、2年前だと……もう更新は無理かな、💦でも、待ってます!なぜなら、続きが見たいから!と、とりあえず、頑張ってください! (2023年4月5日 21時) (レス) @page17 id: 9f932c344b (このIDを非表示/違反報告)
フォォォォォォォォォ - 今まで読んだ中で一番好きな作品です!更新頑張ってください! (2022年12月30日 10時) (レス) @page17 id: 25c3942ea0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月 | 作成日時:2020年11月20日 1時