特級呪術師から逃げれるはずがなかった

伍話目 ページ6

夜槻A。1993年10月31日生まれのAB型。僕の4つ年下で、現在23歳。定職には就かず、カフェ、コンビニ、新聞配達のバイトを掛け持ちしている。非呪術師であり、呪術に関する知識も乏しい。三年前…そろそろ四年前になるあの日からは鈴木Aを名乗っている。


調べるのは難しくなかった。


彼女が家を飛び出してから1年後には彼女の消息をしっかりと把握していたし、行動だってやろうと思えば分刻みで調べられる。やったことはないけど。




「なにそれ」

相変わらず変な人ですね、と歯に衣着せぬ物言いをして彼女は笑った。

僕に気付いてる様子は一切ない。

正体を隠したままこの店に通うことそろそろ三年。自分でも何をやっているんだろうと思う。
最初は腹が立ってたから、早々に正体バラして彼女をコッチに戻すつもりだったが、会って話してるうちに気が変わった。──ほだされたんだろう。彼女の人柄に。


この子にコッチの世界は似合わない



「それ、前見えてるんですか？」
「どっちだと思う？」
「見えてないでしょ、普通は」
「まあ秘密だけど」
「超能力者か何かかよ」


言い得て妙。間違ってはない。だが、彼女は僕のことを普通にただの人間だと思っている。

五条悟だと知ったら、彼女はどんな反応をするのだろう。また、自分の元から逃げていくのか。別に彼女が僕の元にいたときなんて一度もないのだけれど。

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