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「 うっわ … 雨降ってんじゃん 」
「 わあ…サドルびしょ濡れなんだけど！！ 」
ザーザーと雨の音がした。
乗った駅は降ってなかったんだけどなあ。
バイト帰りの最寄りで幼馴染の優太と会って、電車に乗って、帰ってたところ。
「 雨の予報じゃなかったのに 」
「 昼は晴れてたよな？！ 」
最寄りに自転車あるしニケツしようぜ！なんて話していた途端、雨が降った。
不幸にも程がある。
「 ん〜これじゃあできないな 」
「 だね〜てかタオルとか持ってないの？ 」
「 持ってないんだよな〜 押して帰るしかない 」
このまま濡れたサドルに乗る訳にも行かず、
優太は自転車を押して、私は折り畳み傘を持つ係になった。
ひとつの小さい傘にふたり。
傘に入りきらなかった自転車はずぶ濡れ。
「 ごめんね、優太。入れてもらっちゃって
自転車も更に濡れちゃってるし 」
「 いいよ、お前が濡れるより全然まし！ 」
「 でもなんか懐かしいよな、これ 」
「 確か前もこんなことあったよね？ 」
「 あったあった、Aが傘忘れたあ〜って半べそかいてたから入れてやったんだからな！？ 」
ニヤニヤと笑いながら言ってくる優太。
なんとも憎たらしい、なんて思うけどやっぱり憎めないヤツってきっとこういう人間。愛され男め。
「 いちいち言わなくてもいいでしょ！
恥ずかしい、あと半べそかいてないし！ 」
高校生の時だったかなあ。
なんて思い返すと懐かしくて、何故か笑いがこみ上げてくる。
家の近くの公園の前に来た途端、
優太が急に止まった。
「 あー 、じゃあ俺こっちだから
A傘持ってけ？あ、返せよ！？」
「 えでもさあ、申し訳ないしいいよ 」
「 だから言ったろ？お前が濡れるより全然ましだって。
んじゃーな！！風邪引くなよ！ 」
「 ちょ、優太まっ… 」
そう言って優太は傘を私に託したまま、家の方へ走っていってしまった。
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作者名：ぴのきお。 | 作成日時：2019年1月18日 19時
