第二十六話 ページ28
敦君を一瞥し、社長はこの入社試験の意味、そして目的を静かに語る。
福沢「そこの太宰めが「有能なる若者が居る」と云うゆえ、その魂の真贋、試させて貰った」
太宰「君らを社員に推薦したのだけど、如何せん敦君は区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内でも揉めてね」
あんぐりと口を開け、惚けた顔で敦君は説明を聞いている。可愛いなぁ。
太宰「で、社長の一声でこうなった、と」
国木田「で、社長……結果は?」
沈黙が降りる。社長は僕ら二人の目を見つめ、ゆっくりと目を閉じた。身を翻し、簡潔に云う。
福沢「太宰に一任する」
雰囲気に飲まれ、止めていた息を吐き出した。
合格。合格、した。僕が、あの、武装探偵社に。
うわぁ、当たり前だけど高校に合格した時よりも嬉しい!!←
喜びを噛み締める僕とは違い、敦君は社長の去った方向を凝視して呆然としている。
敦「…………」
太宰「合格だってさ」
そして、太宰さんから呼びかけられた言葉にハッと反応する。
敦「つ、つまり……? 僕らに斡旋する仕事っていうのは、此処の……?」
小さな笑みを零し、太宰さんは腕を広げた。
太宰「武装探偵社へようこそ」
敦君の顔が青ざめる。
ナオミ「うふ、よろしくお願いしますわ」
谷崎「い、痛い、そこ痛いってば、ナオミごめん、ごめんって!」
谷崎潤一郎ーー能力名『細雪』
その妹ーーナオミ
ふと見れば、ナオミさんのスカートからは腕が飛び出していた。敦君がそれを見つけると、ナオミさんは「うふふ」と可愛らしく笑い、その腕を動かしてみせる。
唖然とする敦君は、床にへたり込んだ。
敦「ぼ、僕らを試すためだけに……こんな大掛かりな仕掛けを?」
太宰「この位で驚いてちゃ身が保たないよ?」
あーうん、敦君毎回ちゃんと「僕ら」って言ってくれるよね、好き←
そしてその敦君は、カサカサカサと○キ○○のような音を立て(判った人凄い)後ずさる。
敦「いやいや! こんな無茶で物騒な職場、僕、無理ですよ! 君もそうでしょ!?」
『僕は構わないよ?』
敦「えぇぇ……」
太宰「おや、君らが無理と云うなら強制はできないね」
太宰さん、今の会話聞いてました? 僕は良いんですよ?
僕はともかく、敦君はその声に救われた顔で太宰さんを見上げた。
しかし、間も無く拒否権なしという地獄に叩き落される。
太宰「となると、君らが住んでる社員寮引き払わないと。
あと寮の食費と電話の払いもあるけど……大丈夫?」
せ、選択肢無いじゃないですかああああぁぁ
敦君の頰を涙が伝った。
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三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» マジですか!!ありがとうございます!これからもどうか土下座女をよろしくお願いしますね!! (2019年4月28日 22時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 三日月ピエロさん» はい!先ほど全部読みました!! (2019年4月28日 20時) (レス) id: 192730a35f (このIDを非表示/違反報告)
三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» ちゃんと細かい所まで読んでくださってありがとうございます!続編も出来れば楽しんで下さいね^^ (2019年4月28日 20時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 三日月ピエロさん» あそうなんですね。 (2019年4月28日 18時) (レス) id: 192730a35f (このIDを非表示/違反報告)
三日月ピエロ(プロフ) - (名前)さん» 分かりずらくてすみません!!実はそういうネタがあってですね……その後に主が所望している「そうなりよ」と続けるまでがワンセットのようなネタがあるんです! (2019年4月28日 8時) (レス) id: 506de80960 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三日月ピエロ | 作成日時:2018年5月13日 13時