第19話 ページ22
第19話
もうすぐ、チャイムが鳴る。
今日は珍しくかっちゃん遅いな……。
僕の前の席にいるはずのかっちゃんがまだ居ない。なんか、安心するけどちょっと心配だ。かっちゃんは態度こそ悪いけど、遅刻とかそういう成績に支障が出ることなんてしないから。
僕がそう考えていると、教室のドアが開く。
あ、かっちゃん！！
なんだ……やっぱり遅刻じゃなかった。
僕と同じくかっちゃんに気がついた切島くんが駆け寄る。
「よう爆豪！今日は珍しく遅かったな。遅刻すんのかと思ったぜ」
「しねぇよ、んなこと」
「ははっ！そうだよな！！」
「へえ、ここが雄英なのね」
かっちゃんの後ろからひょこっと顔を出す女の人。教室がシーンと静まり返る。
「てめッ……着いてきたのかよ！？」
「だって雄英よ、見てみたいじゃない」
「ふざけんな帰れ！！」
「つれないこと言わないでよダーリン」
「誰がダーリンだ！！その呼び方やめろ！！」
太ももまでの長い黒髪。
愛想のいい笑顔。
僕の見慣れた、中学校のセーラー服。
まさか、あの人は……。
「ば……爆豪が女連れてきたぁ！！？」
上鳴くんの声で皆がいっせいに席を立ちかっちゃんに駆け寄る。僕は唖然として席を立てない。
かっちゃんは「うるせぇ近寄んな！！」と怒鳴りながらこっちに向かってくる。
席にドガッと腰をおろすと、女の人も着いてきてかっちゃんの後ろに座る僕に気がついた。
「……もしかして緑谷くん？」
「あ……え…生徒、会長？」
「久しぶりね。あなた雄英に受かってたの？凄いわね」
「へ！？そ、そんな………じゃなくて！！」
ガタッと勢いよく立ち上がる。
「生徒会長は……死んだはずじゃ」
僕の小さな呟きに生徒会長はフッと意味ありげな笑を見せる。その瞬間、心臓がドキリと跳ねた。
確かに生徒会長なのに、なんていうか……
すごく冷たい。
違う人に見える。
化粧してるからか、元々大人っぽい人だったけど余計に大人っぽく見えるというか。青白い肌、生気のない目。
なんだろう、この違和感……。
口を開こうとするとチャイムが鳴り、同時に相澤先生が入ってくる。興味津々にかっちゃんを見ていた皆も急いで席につき、相澤先生がだるそうに声を発した。
「ＨＲ始めるぞ。まずは……………」
相澤先生がかっちゃんの方を見て言葉を止めた。
正確に言えば、かっちゃんの後ろにいる生徒会長を見て。
「……誰だ、お前」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 766人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (
レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
mayu0809!(プロフ) - NAOKI様の小説最近見つけて読ませて頂いているのですがどの話も表現が尊くて大好きです！挿絵も沢山入れてくださっているので読みやすくて文字だけの小説読むのが苦手な私にとって有難いです！ (2021年5月22日 13時) (レス) id: 3167097c83 (このIDを非表示/違反報告)
晏(プロフ) - この作品が好きすぎて、何度も見直しています！ 感動しすぎてこれを読む時は、ティッシュが必ず横に置いてあります。 (2021年3月17日 0時) (レス) id: 440a1ef8ed (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 感動です...あれっ、足元に大量のテェィッシュが...笑。素敵な文章ですね！こんな文章が書けるようになりたいです。これからも、応援しています！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 349b1bb88e (このIDを非表示/違反報告)
みゅーう - めっちゃ感動しました。ボロ泣きしました。素敵な作品を書いて頂きありがとうございます！ (2019年7月22日 1時) (レス) id: b0c04a8a2c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2017年12月15日 7時
