エゴトレ！！５【ブルーロック】

172 : カイザーの眼が映すモノ ページ9

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【すみませんごめんなさい氷織さん。黙る努力も読める字を書く努力も致します故……！】



その手に持ったテーピング用の医療テープ、仕舞ってもらって良い？

いやあの、めちゃくちゃイイ笑顔されてますけども。やろうとしてることが不穏すぎる。


そんなんでお口塞がれたら、剥(は)がす時が地獄じゃない……？(震え声)



「うぅーん………こないな人前やなかったら、ちゅーで塞ぐんもアリやけどねぇ」


【ナイ、ナイ】



大事なコトなので、黒名くんばりに繰り返しときます。

マイクに拾われないように、って配慮かもだけど、小声なら何言っても良い訳じゃないです。



【それより試合が続行中ですよ、氷織さん】


「カイザーのクリアボールを拾ったネス、イングランドゴールに向かって斬り込んでいってますねぇ天手さん」


《即興(そっきょう)の実況と解説のわりには悪くないけど。ドイツベンチの氷織羊は、あんま巻き込まないでねAちゃん》


【理不尽】



ひおりんを先に巻き込んだの、そうおっしゃる絵心さんでは……？(小声)



《何か言った？》


【いえ何も】


「Aさん、スケブ芸慣れてきはったねぇ」



要するにこれくらいのクオリティなら、私の字も解読可能なのかと理解しつつ。視線をピッチへ戻せば既に。



「クソ節穴(ふしあな)」



ネス選手とパスを交換しながら、イングランドのゴール前まで突っ込んでいったカイザー選手が。


そのシュートを防ごうと急ぎ戻ってきた、何人ものイングランド・メンバー達をあざ笑うかのように＿＿＿＿＿＿＿



一閃。
右足を、超速(ちょうそく)で振り抜いた。


ボールは選手たちが密集する、ほんの僅(わず)かな。
僅かな隙間(すきま)を自らの意思で選ぶかのようにすり抜け、ゴール左上隅へと突き刺さる。



「そこ……ブチ抜く？！」



シュートコースは完全に消したと考えていたのだろう。信じられないという様子で、玲王くんがそんな感想を発した。


無理もない。

ほとんどの人間には、理解不能な次元だ。もちろん、私も含め。



【いや、どういう視え方してるんでしょうかね。カイザー選手の眼は】



と、そんな解説 (？) をサラサラ書きつつ、ふと思い当たる。

視え方。眼の使い方、といえばだ。



そこでもう一度視線を向けた先では、青い監獄の英雄・潔くんが。



カイザー選手の背を見つめながら必死に＿＿＿＿＿＿何かを考えて、いるようだった。


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