エゴトレ！！５【ブルーロック】

184 : 狂弾 ページ29

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ほんとこの電流ミサンガ、地味にビリビリくるんだが。(白目)



いや。
そんなモノに意識を向けている暇はない。



ピッチでは雪宮くんが、千切くんの超速ドリブルを一旦止めた。しかしそれでも千切くんはゴールを狙う。


シュートフェイクで雪宮くんを釣り、自身の黄金特区(ゴールデン・ゾーン)へ斬り込んだと思われた＿＿＿＿＿＿＿次の瞬間。



「0.2秒」


「くっ……」



「遅かったな、赤いの」という無慈悲(むじひ)な宣告と共に、千切くんに身体をぶつけたのはカイザー選手で。



【ここは仕方ないか？ 千切くん、身体のバランスを崩しながらもパスを出した！】


《崩れてんのはむしろ、Aちゃんの字だろ》


【誰のせいだと思っているんでしょうか。総指揮・絵心甚八の言い草がヒドイ】



ほんとひどい。
知ってたけど。←



そのパスは苦し紛れでありながら、ゴールからマイナスの軌道で味方へ繋がれた。


恐らく最も頼りになる味方＿＿＿＿＿＿指導者、クリス・プリンス選手へ。



「ブラボ」



千切くんの献身(けんしん)を短く褒めたたえ、プリンス選手はその足へボールを吸い寄せる。



「……甘ぇよ、世界2位(ナンバー2)」



【さあ今度は、世界1位と2位のプレーヤーがマッチアップ。指導者同士の直接対決です】



そこへすぐにプレスを掛け、プリンス選手のシュートコースを " 合理的に " 切ったのはノア選手。後ろには國神くんも控える。



プリンス選手にはもう、パス以外に打つ手は無いと。誰もが考えたであろう、その時。



「これはお前を超えるために開発した＿＿＿＿＿非合理の新撃だ！！」



プリンス選手の右足から放たれたのは、シュートのはずだが。



(噴かした？………いや、違う)



そのボールは、ドイツゴールのバー遥か上へ蹴り上げられたかのように見えた。


キックミスで、シュートがゴールの上へ大きく外れていくことを「噴かす」と言うが。



【プリンス選手のシュート、無回転ですね】



ボールは通常、回転を掛けて蹴る。回転により空気の抵抗を最小限とすることで、初めてキックの＿＿＿＿＿＿ボールのコントロールというものが、可能になるからだ。


しかし無回転なら。



【ボールは空気の抵抗を受けて、その軌道を変える。つまり、ボールがどこへ向かうかは誰にも】



わかりません、と書き終えた時にはもう。


超速のボールは無軌道に揺れて落ちながら、ドイツゴールへ向かっていた。


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