17 : それは予想外の ページ21
・
人の初恋を賭けの対象にしやがった、烏・乙夜コンビ (もはや呼び捨て) の元へ、本来の専門誌のインタビュアーがやって来た所で。
ご挨拶をしてから、入れ違いに控え室を出た。
(……あ。もう撮り始めてる)
静かに静かに、と気を遣いながら足を踏み入れたのは、撮影中のスタジオ。
聞こえるのはカメラマンさんの声と、シャッターが連続で切られる音で。
(やっぱカッコいいなあ、潔さん)
10代の頃から幾度となく、こういった取材を受けてきていて、慣れもあるんだろうけど。
カメラマンの指示通りに視線や表情を変えたり、ポージングすら取っている姿は、さながらモデルのようだ。
この10年、ただひたすら憧れ続けた人が今こうして、同じ空間に居る事実だけでもう___________
(……いかん。鼻血出そう)
興奮を静めるべく、脳内に千切さんの本気で嫌そうな美人顔を思い浮かべていれば。
「………はい、潔選手OKです! お疲れ様でした!」
カメラマンさんの撮影終了を告げる一声に、スタジオ内の空気が和やかなものへと変わる。
周りのスタッフさんに笑顔で会釈を繰り返していた潔さんと、ふと目が合った気がして。
『お疲れ様です、潔さん。宜しければどうぞ』
「ん。サンキュ」
ペットボトルを手に駆け寄った私に、潔さんは何事もなかったようにほんの少し瞳を細め、それを受け取った。
潔さんの態度が普通なのは当たり前だ。
この人にとっては本当に、「何事もなかった」のだから。
つい先程、せっかく気づかせてもらったことを、胸内で繰り返す。うん。大丈夫。
「俺はこれで、上がりで良いんだっけ」
スタジオを出て、ペットボトルのお茶を一口含んだ潔さんが、そんな風に確認した。
潔さんは撮影の前、既にインタビューをこなしている。
『はい。今日の取材は終了ですので、ホテルまでのタクシーすぐ呼びますね』
「乙夜達は?」
『あちらはもう少し、インタビューの時間を取ってありまして』
まだ2、30分程度はかかりそうだというのが、私の見立てである。
午前中は代表チームの練習、昼食を挟んでこの取材。いくら体力に自信のある現役選手といえども、疲れは覚えるはずだ。
『なので潔さんは先にお戻りになって、少しでも休まれ、』
「………もっとグイグイくるんじゃねぇかって、思ってたけど」
『え……?』
潔さんの、そんな予想外の呟きを耳にして。
私の脳内は、疑問符で溢れかえった。
・
634人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひよ(プロフ) - 魔孤蠧マコトさん» 魔孤蠧マコト様、はじめまして!勢いのあるコメントありがとうございます♥ 大人になった潔のエゴみとか格好良さが、少しでも感じて頂けていたら嬉しいです! (4月14日 13時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
魔孤蠧マコト(プロフ) - ヴワ゛ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!潔のくせに!!潔くせにィィィィィ!!!!!可愛いくせにィィィィィ!!かっこよくなってんじゃねぇヨォォォォ!!ヴワ゛ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!最後で尊†┏┛ʚ♡ɞ┗┓†死したわ!!何だこの神作品は!!コロす気か!? (4月13日 18時) (レス) @page50 id: 96bbb29a63 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ちゃむさん» ちゃむ様、はじめまして! 完結済の話にコメント頂けて喜び舞ってます♥ 色々ストレートな夢主ですが、気に入って頂けたみたいで良かった…!ちゃむ様最推しを変更できて光栄です!(ニヤ )(悪いお顔) (3月21日 8時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ - あ”あ”あ”あ”ぁ!!!お、終わってしまった…この作品の夢主好きだったのになぁ…てかひよさん!!どうしてくれるんですか!!?私の最推しがよっちゃんになっちゃったじゃないですか!(すんません) (3月20日 20時) (レス) @page47 id: b02cacdca3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - しおさん» しお様、はじめまして!コメントありがとうございますめちゃくちゃ嬉しいです♥ ご指摘の通りスラ/ダンの曲でした!笑 気づいて頂けた! 夢主も気に入って頂けたようで良かったです(泣) (3月11日 12時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ