二人の特級術師に何故か狙われています。【呪術廻戦】

7 : ざーんねん？ ページ8

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「そうじゃなくて」



ん、と目の前に突き出されたのは、最強(クズ)先輩さまの。

少し薄めの、綺麗な唇。



『……現代の呪術師において最強、って程の実力があって、生まれも育ちも顔もスタイルも良くて、おまけにめちゃくちゃお金もあるのにバカとか……』



ほんと残念が過ぎますよ先輩、と遠い目になった私の額を、長い指のデコピンが襲う。

痛っっって！ これ絶対ヒビ入ったやつ！


ふん、と鼻を鳴らした最強を、涙目で睨みつけた。



「……いーじゃん。涙目の上目遣いとかすっげクるわ、奉仕させてるみてー」


『地獄に堕ちろセクハラクズ』


「あーあ、これ滅多に買えないらしい限定品なんだけどなー」



ちょーっとチューするだけで食えるとかー？ 役得だよなーAちゃんはー、などと歌うように続ける最強。

お願い、誰か止めたげて。

何か泣けてきたわ。(情けなくて)



「……Aからしてくんねーなら、実力行使するけど？」


『ひっ……！』



一気に追い詰められた壁際。

まずいまずいまずい、どっか触られるくらいはしそうだ非常にまずい……！



「……ん、」



固い胸を思いきり押して抵抗するも、いかんせん全てのリーチが違い過ぎる。

その息遣いが近づいたと思った瞬間、ちゅ、と。



「……ははっ、口にされると思っただろ」


『あ……？』



先程デコピンを食らった場所、要するに額で鳴った、微かなリップ音。



「ざーんねん、デコチューでしたー」


『チッ……』

　
「なに舌打ち？ 物足んねーならもっと先も、」


『んなわけねーですけど、これは貰っていきますからね！』



最強クズ先輩の手からその紙袋をひったくるように奪い、ついでに膝へとローキックをお見舞いしてから。


面白がって未だゲラゲラ笑う声を背に、教室へと全力で走ったのだった。


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