二人の特級術師に何故か狙われています。【呪術廻戦】

35 : 今はまだ、ね？ ページ36

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蹴り損とは知りつつ、もう一度壁にローキックをかました私の隣で、夏油先輩は「お手上げ」のジェスチャーをしてみせた。



「A。これはもうやっぱり、そういうことをしなきゃ駄目なのかもしれないよ」



私に全部任せてみれば？と小賢しく首なんぞ傾け始めた夏油先輩の笑みが、わりと黒い。


やばいぞこれ、高専内で襲われる(？)比じゃなくやばいやつだ。

まさに貞操の危機……！！



『絶っっっっっ対やだやだやだやだ！！ 私ハジメテなのに、こんなどこぞの呪霊に覗かれてるかもわからんような空間で、夏油先輩に変態ちっくなプレイ(偏見)強要されるとか絶っっっ対に無理！！』


「ははは、そんなプレイはしないよ。今はまだ」


『否定しろよそこは全部！！』



「変態ちっくなプレイ」のくだりはいいのかよ。
理解不能だよ前髪パイセン。





……………と、その時。


壁の向こう側で、五条先輩の呪力が一気に増幅する気配がした。


え、何そのわりとフルスロットル的なやつ。
やばくね？？



「とりあえずベッドでも盾に避難しようか」


『その案には全力で同意します』



呪霊じゃなく、味方のはずの人に天国へ送られるとかは、ちょっと勘弁願いたい。


夏油先輩が素早く持ち上げた(！)ベッドの影に駆け込めば、先輩はもうワンクッションとして、大きな呪霊を出した。

それから私を守るように、上から覆い被さる。



確かに普段なら、問答無用で蹴りを入れるところだが、今は非常事態だ。


どさくさに紛れて変なとこ触ってくれるなよ、と牽制はしつつ、一応おとなしくしておく。



いやだから、何でこんなに良い香りなの？



「………術式反転、赫！」



やたらと良い声が辺りに響いた瞬間、ものすごい轟音と衝撃波が襲いかかってきた、


恐ろしい程の威力に思わず、夏油先輩に縋りついてしまう。
これ万が一くらったら、本気で天国行きって確信。


もうもうと立つ砂埃の中からは。



「……っ、Aの処○は無事か？！」


『第一声ひどすぎて、ヒーロー感も台無しな件』


「はは、確かに」



伏せ字にしなきゃなんない語彙叫ぶとか。


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