風柱、拾いました【不死川実弥】

Day １２ ページ26

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『あー、お休み前夜のビールは染みるー』


「良い飲みっぷりだなァ」



2杯目の生中ジョッキに口をつければ、実弥さんは私に苦笑しながら、同じようにそれを飲んだ。



「ハ、美味ェ」


『実弥さんも美味しそうに飲むねえ』



明日は勤労感謝の日で、会社は休み。

ちなみに大正時代には、この祝日まだ無かったらしいよ。(大正豆知識)



家では何度か一緒に飲んだお酒だけど、お店で飲むのはまた少し、雰囲気が変わって善き。


あ、「風柱はそこそこお酒も飲める」という見解が合っていたことは、同志の皆さまにご報告しておきます。



イルミネーション鑑賞で少し冷えた身体には、お湯割りか熱燗か………なんて言いながら、夕飯を兼ねて入った居酒屋。

半個室の暖かさに、結局生ビールから始めている。



『ちなみにお酒一番強いのって、やっぱ音柱？』



軟骨の唐揚げをつまみながら聞いてみれば、実弥さんはもう一口ビールを飲み込んでから頷いた。



「そうさなァ………悲鳴嶼さんは敢えて飲まンかったし。俺と他の奴らも飲めなかねェが、宇髄にゃ及ばねェな」


『あーわかる。後ね、ぎゆさんは酔ったら寝ちゃうイメージ』


「ふはっ………おォ、合ってる合ってる。あいつ何度か俺、屋敷に送ってやったわ」



仲良しじゃん！と笑えば、実弥さんは鼻を寄せ、嫌そうな顔をしてみせる。

でも、多分わざとだ。



「……ま、冨岡とンな風に付き合えるようになったのも、最終決戦の後だがなァ」


『だろうねえ。途中まで嫌ってたもんね、実弥さん。ぎゆさんのこと』



でもぎゆさん(水柱・冨岡義勇)は、皆と仲良くなりたかったんだよ、本当は前からずっと。

色々と不器用が過ぎただけで。(泣)



『へへ………嬉しいな、やっぱ』



ん？という風に私を見る実弥さんの頬は、ほんのり朱に染まっている。



『全部終わった後にね、そういう…………平和っていうか、和やか？ そんな時間が、実弥さん達にもちゃんとあったんだな、って思うと』



ほんとにほんとに嬉しいんだ、と笑った私に。

実弥さんは一度、その大きな瞳を見張ってから。



「ったく、お前は本当………」



子供のように顔をくしゃりとさせて、笑い返してくれたのだった。


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