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ほんの3日前のことだ。
「………まあね。Aがその気持ちを隠したくなるのも、わかるんだけど」
とても同級生とは思えない余裕のある表情で、夏油はそんな風に頷いた。
「好きだろう?」と尋ねる形を取ったわりには、夏油の内ではもう、確定とされていたようだった。
素直に認める言葉も、意地を張って否定する言葉も必要ない。
それはありがたくもあり、少し怖くもあった。
『上手く、言えないけど』
「……うん」
『五条は…………近くて、遠いから』
物理的な距離は近くとも。
御三家のひとつ、五条家の次期当主。
無下限術式と六眼を併せ持つ、現代最強の特級術師。
彼の背負う肩書き、それはただのいち呪術師には、恐ろしい程に重い。
「確かにそうだね」と。
夏油はあっさり肯定なんかするから、つい唇を噛んだ。
「でも悟は、私達の同級生でもある」
『うん』
「Aが考えているほど、大したものじゃないかもしれないよ。17歳の、高校生男子なんて」
『………夏油、ほんとは何歳?』
少し恨みがましい色になった私の問いに、ひどいな、と夏油は笑う。
そうして私の頭を優しく撫でた。
「先生の受け売りだけど。術師としてじゃない人生の楽しみも、時には必要だと思うから」
私も応援しているよ、と話をまとめて。
夏油は何だかいたずらっぽい表情で、笑ったのだった。
・
どうして急にそんなことを、と戸惑いつつも、誤解だけはされたくなかった。
たとえ気持ちは伝えられなくとも、好きな人には。
『恋愛、って意味では違うかな。尊敬もしてるし、大好きな同級生だよね…………硝子と同じくらい』
否定するべきところは、ちゃんと否定すれば。
はあ、なんて五条はあからさまに、大きな溜息をつくから。
『なんで溜息?』
「………バカA。安心したからに決まってんだろ」
ふん、と拗ねたようにも見える表情。
ねえ、どうしてそんな顔。
…………………五条が、するの?
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ひよ(プロフ) - まる麺さん» まる麺さま、はじめまして!コメントありがとうございますめちゃくちゃ嬉しかったです♥ ぶっ通し…!眼精疲労は大丈夫でしょうか、、でも胸焼けして頂けたようで良かったです😭 (10月29日 11時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - 最初から最後までぶっ通しで見ましたが甘々で胸焼けしますね!とっても良いです!素晴らしい作品をありがとうございます! (10月29日 3時) (レス) @page38 id: 1349e0699e (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» つまり、メアド要の「ログイン」をしなければのりません。ナミ様の下記の端末ですと非ログとお見受けしますので、、そちらからでは閲覧できないかと思います。大変申し訳ありませんが、可能ならログインしてプロフィールを取り、設定をお試し下さいませ! (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» ナミ様、はじめまして!コメありがとうございます♥️ 嬉しかったです!こちらの続編ですが、アール18フラグを立てているため、アール18作品を閲覧できるように、マイページ→設定→コンテンツの設定にて「18歳以上ですか?」に「はい」のチェックが必要です。 (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 初コメ失礼します!すごく面白かったです!質問なのですが,続編ってどうすれば見れますか?分からなくて…,もしよろしければ教えてください!! (2023年4月8日 11時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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