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そんじゃナナミンまたねー!!とやはり無邪気に手を振って、悠仁は校舎へ向かって駆けていった。
彼の咎めるような視線にも笑えるあの子は、これからもっともっと、強くなっていくんだろう。
『……今日、こっち来る予定だったっけ?』
ゆっくりと校舎へ向かって歩き出せば、彼もそのまま歩みを合わせる。
いえ、と返ってきたのは否定。
「今日の任務が、予定より早く終わったので」
『そうなんだ。お疲れさま』
「貴女の顔でも見がてら報告書を仕上げてしまおうと、寄ってみたんですが」
時々さらっとこういうこと言うんだよね、とぼんやり考えていれば。
「虎杖くんに簡単に触れさせている貴女を見かけた、というところです」
『言い方にトゲがあるなあ』
そうですか?と隣でしれっとしている彼___七海建人と私は、この高専で出逢った。
歳は彼の方がひとつ下になるけれど、その性格的に、あまり歳下を感じたことはない。
校内へ入れば、少しひんやりとした空気。
あまりにもあの頃のままのここに居ると、自分が今何歳なのかまで、都合良く忘れそうだけど。
『まあでも、大人になった自覚はちゃんとあるからね。
" 簡単に触れさせて " という彼の咎める色を滲ませたセリフを思い出し、苦笑しながら言い訳をする。
すると呆れたような溜息が、右上から降ってきた。
「貴女にその気が無くとも、手を出される可能性はゼロでは無いでしょう」
『ゼロに決まってるじゃない、一回りも歳上の教師なんか』
「この話題は平行線になる」
『さすがにね』
少しずつ可笑しくなってきてしまい、小さく笑った。彼の憮然とした表情は、わりと平常運転だから気にならない。
「今日は定時で上がれますか?」
『忙しい彼氏がせっかく迎えに来てくれたんだから、意地でも上がります』
職員室のドアの前、そんな風に答えた私にようやく、満足気に微笑み。
彼は「ではまた後ほど」と言い残し、事務室へ向かって歩いていった。
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ひよ(プロフ) - まる麺さん» まる麺さま、はじめまして!コメントありがとうございますめちゃくちゃ嬉しかったです♥ ぶっ通し…!眼精疲労は大丈夫でしょうか、、でも胸焼けして頂けたようで良かったです😭 (10月29日 11時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - 最初から最後までぶっ通しで見ましたが甘々で胸焼けしますね!とっても良いです!素晴らしい作品をありがとうございます! (10月29日 3時) (レス) @page38 id: 1349e0699e (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» つまり、メアド要の「ログイン」をしなければのりません。ナミ様の下記の端末ですと非ログとお見受けしますので、、そちらからでは閲覧できないかと思います。大変申し訳ありませんが、可能ならログインしてプロフィールを取り、設定をお試し下さいませ! (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» ナミ様、はじめまして!コメありがとうございます♥️ 嬉しかったです!こちらの続編ですが、アール18フラグを立てているため、アール18作品を閲覧できるように、マイページ→設定→コンテンツの設定にて「18歳以上ですか?」に「はい」のチェックが必要です。 (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 初コメ失礼します!すごく面白かったです!質問なのですが,続編ってどうすれば見れますか?分からなくて…,もしよろしければ教えてください!! (2023年4月8日 11時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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