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小さな頃から、「ヒトではない何か」が見えた。
周りで他に視える人は居らず、それが何なのかもよくわからないまま、私は成長し。
大学進学を機に上京した時の感想は、『東京ってアレが多いんだな』だった。
" 人の多い所には、呪いも多い " なんて基本的なことも、何ならアレが呪霊と呼ばれるものであることすら、知り得たのはごく最近で。
「逆に運が良かったんだよ。Aちゃんの呪力、大したもんじゃなくて」
私がこの歳まで、さして呪霊に狙われずに済んだのは、呪力量が少なかったからなのだと。
五条先生の言葉を借りれば、" 私を拾った人 " も、そう話していた。
「だから高専のスカウトからも、漏れてしまったのかもしれない」とも。
『そうですね。わかりやすく襲われたのは、あの時が初めてでしたし』
「そんでそこにジャァァァン現れたのが、夏油特級述師と!」
いいねー何かマンガみたい!とサムズアップなどしてみせる五条先生には、とりあえず笑みを返しておく。
「そんなヒロインちっくなAちゃんはさあ、」
『? ヒロイン……?』
アイマスクの下の目元は見えずとも、その口角は思いきり上がっている。
椅子のキャスターを器用に滑らせ、五条先生は私のすぐ真横まで来て。
「惚れちゃった?……………自分を助けてくれた、夏油セ・ン・セ・イに♡」
内緒話をするかのように、耳元でそんなことを囁かれてしまえば、色んな意味で頬に集まる熱。
どうしたものか、と眉を下げた瞬間だった。
「こら悟。あまりAを困らせるんじゃない」
それと近過ぎるよ、と五条先生の座る椅子に手を掛け、私から素早く距離を取らせた噂の人物。
『あ………お疲れ様、です。夏油先生』
火照りかけた頬をごまかすように押さえた私に、「お疲れ様」と微笑んでから。
「Aには、あまり絡むなと言っただろう」
「えぇ? そうだったかなー?」
椅子ごと後ろへと追いやられた五条先生は、からかうようにそんな調子で、ニヤニヤ笑っている。
まったく、と夏油先生は小さな溜息をついてから。
「行くよ、A」
『えっ………どこに、……っ?』
少し強めに腕を引かれ、立たされた私が振り返りざま目にしたのは。
べー、と子供のように舌を出してから笑った、五条先生だった。
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ひよ(プロフ) - まる麺さん» まる麺さま、はじめまして!コメントありがとうございますめちゃくちゃ嬉しかったです♥ ぶっ通し…!眼精疲労は大丈夫でしょうか、、でも胸焼けして頂けたようで良かったです😭 (10月29日 11時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - 最初から最後までぶっ通しで見ましたが甘々で胸焼けしますね!とっても良いです!素晴らしい作品をありがとうございます! (10月29日 3時) (レス) @page38 id: 1349e0699e (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» つまり、メアド要の「ログイン」をしなければのりません。ナミ様の下記の端末ですと非ログとお見受けしますので、、そちらからでは閲覧できないかと思います。大変申し訳ありませんが、可能ならログインしてプロフィールを取り、設定をお試し下さいませ! (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» ナミ様、はじめまして!コメありがとうございます♥️ 嬉しかったです!こちらの続編ですが、アール18フラグを立てているため、アール18作品を閲覧できるように、マイページ→設定→コンテンツの設定にて「18歳以上ですか?」に「はい」のチェックが必要です。 (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 初コメ失礼します!すごく面白かったです!質問なのですが,続編ってどうすれば見れますか?分からなくて…,もしよろしければ教えてください!! (2023年4月8日 11時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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