責めて 宥めて、甘いキスで。【呪術廻戦】【短編集】

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【伏黒恵 X 同中彼女 = 誤解からの赤面→甘】






Q，もしも彼氏の浮気現場を目撃したら？


A、とりあえずは問答無用で、


＿＿＿＿どつきます。









思わず叫びそうになった自分の口元を、とっさに手で押さえつけた。いや危ない。


週末、ただでさえ人が多い渋谷の雑踏で叫んだりすれば「ヤバいやつ」認定は避けられない。



『え、まじか』



落としたトーンの呟きに、語彙がないのは許して欲しい。



何たる偶然。
ほんの数メートル先に、私の彼氏がいた。


見間違えるはずもないツンツン頭は、実際に触ると案外、柔らかかったりするのだが。



(違う、そーじゃなくて)



髪が硬いとか柔らかいとかどーでもいい。
とにかく、他人の空似じゃ無い。









同中で、3年もほぼ終わりに近い季節から付き合い始めた彼氏は、伏黒恵という。


私は(一応)彼女ではあるけども、実は彼のことを多くは知らない。

というか、謎が多い。



親は居ないみたいだし、確かひとつ上にお姉さんが居た記憶があるけど、あまり話題に上らない。

進学した高校も宗教系だとかで、何か妙な名前だった。(言いにくかったのだけは覚えてる)


地元を離れて寮に入った挙げ句、部活だかバイトだか知らないけど、常に忙しそうにしてるし。



(………まあ、それでも)



メッセージアプリでのやり取りは(少ないけど)あったし、通話も(少ないけど)していたから。


自然消滅したつもりは、ない。
ましてフラれた自覚なんて。



『っ、………伏ぐ、』



その名を最後まで発音できなかったのは、仕方がないと思う。

人影に埋もれていたらしい、もう一人に気づいた。



茶色のボブヘアは、同性の私から見ても可愛い顔をしている。

その子は大きく笑いながら、彼の肩先をばんばんと遠慮なしに叩いた。


彼はその子へと顔を向ける。



(全然、怒ってないじゃん……)



伏黒恵は確かに、表情を大きく変える人じゃないけれど。


中学の頃はあれだけ尖っていた、彼が。
怒ってないどころか。


何なら少し柔らかくなったような、そんな顔を見てしまった私は。



ほとんど衝動的に、彼の元へと駆け寄った。


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