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『………っ、ん…』
「………口開けて」
触れるだけのキスを数回。
五条は一度顔を離して、席に座ったまま私を抱え上げた。乗せられた先は、その膝上。
再び降ってきたそれは幸せのかたまりで、受け入れることにはもちろん、文句なんて無い。
乞われるまま唇を薄く開けば、簡単に侵入してくる、彼の柔らかな熱。
それはすぐさま、私の口内を動き回る。
嬉しくて、気持ちが良くて幸せで。
自分達が今居る場所すら、頭からすとんと抜け落ちる程度には、舞い上がっていて。
そこへパンパン、といきなり打たれた拍手にぎょっとして、五条の胸元を思わず押しやった。
「テメ、………傑……!」
「これでも一応、気を遣ったつもりなんだけどね」
ふふ、とそれは面白そうにドアの前で笑うのは、恐らく出張帰りの同級生。
あまりの気まずさに、その顔は直視できないが。
「良かったじゃないか2人とも。ようやく感は否めないけど」
「チッ………傑お前、ワザとだったんだろ」
苦々しいその問いかけに、夏油は小さく笑ったようだった。
「見ていられなくてね。大切な仲間2人が、片想いを拗らせているのは」
「絶対ぇ面白がってたよな?」
「まあそれも否定しないけど…………悟、ここは神聖な教室だ。そろそろAを解放してあげたらどうだい?」
恥ずかしがってかわいそうに、と夏油はわざとらしく、溜息をつく。
それはまあ事実なので、彼の腕の中から脱出しようと、私も身体を捩れば。
『え、ちょっ……』
「バーカ。誰が放してやるかっての」
ぎゅう、と更に篭められた力に対抗できる術は、残念ながら持ち合わせていない。
「傑、聞き耳立てんなよ?」
「ははっ………じゃあ私はここで、報告書でも書いてから、ゆっくり帰ろうか」
「話早くて助かるわ」
『なに? 何のはな、………っ?!』
「goodluck」という夏油の言葉と共に。
私の身体は彼に抱えられたまま、ふわりと浮いたのだった。
9/27 終
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ひよ(プロフ) - まる麺さん» まる麺さま、はじめまして!コメントありがとうございますめちゃくちゃ嬉しかったです♥ ぶっ通し…!眼精疲労は大丈夫でしょうか、、でも胸焼けして頂けたようで良かったです😭 (10月29日 11時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - 最初から最後までぶっ通しで見ましたが甘々で胸焼けしますね!とっても良いです!素晴らしい作品をありがとうございます! (10月29日 3時) (レス) @page38 id: 1349e0699e (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» つまり、メアド要の「ログイン」をしなければのりません。ナミ様の下記の端末ですと非ログとお見受けしますので、、そちらからでは閲覧できないかと思います。大変申し訳ありませんが、可能ならログインしてプロフィールを取り、設定をお試し下さいませ! (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» ナミ様、はじめまして!コメありがとうございます♥️ 嬉しかったです!こちらの続編ですが、アール18フラグを立てているため、アール18作品を閲覧できるように、マイページ→設定→コンテンツの設定にて「18歳以上ですか?」に「はい」のチェックが必要です。 (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 初コメ失礼します!すごく面白かったです!質問なのですが,続編ってどうすれば見れますか?分からなくて…,もしよろしければ教えてください!! (2023年4月8日 11時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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