《後編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

54 : 姫抱き希望ですが ページ15

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目の前に見慣れた撹拌が現れたと思ったら、身体が宙に浮いた。


毎度この俵担ぎ方式なんだよなー、ホントは姫抱き、切に希望してるのに。



『………回収………ありがとう、ございます……』


「………女の隠に、お前の湯浴み頼んだ。さっさと入ってこい、汗臭ェ」



言い方よ。

臭いとか言わないで、傷つくお年頃だから。



『……乙女に、向かって………汗臭い、とは……失礼な』



私の弱々しい反論に、師範は舌打ちをよこしたようだ。

顔は見えないけど。



「オレと一刻も打ち合えるヤツが、乙女名乗ンなアホォ」


『そう、鍛えた、のは………師範、でしょ……』



もういいから黙れ、と。

その囁きはやっぱり、優しい色を含んで。


少し苦しくなってしまった瞬間、お風呂場に放り込まれた。

容赦ねえ。



「お、お疲れ様でございました……」



そこに待っていてくれたのは、泣きそうな顔をした2人の女性の隠だった。


ボロボロの私を綺麗に洗ってくれて、浴衣は着せてくれるは、髪も乾かしてくれるは………何これもう介護？


ここに天使がいた。


………………全裸さらしちゃったけども。(小声)



『………私と、結婚、しません……？』



行き届き過ぎたホスピタリティに、思わず出たのはプロポーズ。

いや私、プロポーズはされたい方だけども。つい。



「A様………大丈夫、ですか？」



頭、と続けられなかったのは、この人の優しさと思いたい。



『ごめんなさい、忘れて下さい………』



肩を貸してもらってお風呂場を出れば、途端に鳴ったのは、正直な私のお腹。

そうだ今日、おやつ食べてなかったっけ。



『あの………私のゴハン……残ってたり、します……？』



切実な響きの私の質問に、隠さんは力強く、何度も頷いた。



「もちろんです。あ、ただ………風柱様のお部屋にご用意するよう、仰せつかっておりまして………風柱様から、ですが」


『なるほど………私は師範のお部屋へ赴かないと、ご飯にありつけないと』



そういうことですね、と申し訳なさそうに肯定する隠さん。

いえいえ、あなたは何も悪くありません。



師範はわかってるんです、私が食い意地張ってることもね。



…………………行くか、ご飯のためだ。



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☆を前のめりで先入れして下さった方々のおかげで、もう赤星頂きました(泣) 本当に本当にありがとうございます(泣)更新頑張る＆何かお礼も考えますね!! 6/29 ひよ

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