53 : 立てる気がしねえ ページ14
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………………恐らくは、数刻後。
「A、生キテルー?」
『………か、ろうじ、て……?』
ただいま突っ伏した状態で、庭の石など舐めております。不味い。
…………ああ、もう日が暮れちゃってるな。
柱稽古の間は隠の皆さんが、食事やお風呂のお世話に来てくれてるらしいし。
私このまま寝ててもいいかな?
っていうか起き上がれない、まじで。
「ウム、ヤッパリAシカ止メラレナカッタナ。流石ダ」
へばった私のすぐ脇で、爽ちゃんは1人(1羽か)頷いている。
『………お褒めに、預かり、光栄、でっす……』
あのまま師範と、ぶっ続けで打ち込みをした。
いつも以上に容赦のない攻撃に、必死で食らいついたつもりだったけれど。
…………まあ最後は、地面に思いきり叩きつけられて終了ですよ。
さすがに諦めた。試合終了。
頭上から降ってくる風の呼吸特有の音が、少しずつ落ち着いていったことに安堵した瞬間、完全にオチたと思う。
そっから更に一刻くらい経ってんのかな。
この空の感じ。
『………これはもうさすがに痣出たよ』
「甘イナ」
『嘘でしょ』
爽ちゃんは私を眺め回した後、フウー、と溜息などついてみせる。
「少ナクトモ、見エル所ニハ無サソウダ」
『あ、身体のどこに出るのかは決まってない感じ?』
ウム、と頷いてから、爽ちゃんは師範のように喉奥で笑う。
「痣出タ自信ガアルナラ、実弥ニ調ベテモラエ。身体ノ隅々マデナ」
『おい鴉にまでセクハラされるとか』
舌打ちした私を宥めるように、風花はこちらを覗き込んだ。
「隠ガ何人カ居ルカラ、トリアエズ呼ンデクル?」
その優しい風花の提案には、前のめりで乗る。
『そうしてもらおうかな…………立てる気がしない』
「………ア、実弥キタゾ」
爽ちゃんの呟きと共に、ザッザッ……と石を踏みしめる重い音が、地面から耳に伝わって響く。
あの状態からもうクールダウン完了とは。
さすがですね、師範。
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ひよ(プロフ) - すみっことかげさん» すみっこさん、こんにちは! お忙しいのに一気読みまでして頂き、、申し訳なさとありがたさで泣いています…!ちょっと……師匠とは誰のことかわかりかねますが(すっとぼけ)、私もすみっこさんのお話を応援しておりますので、更新頑張って下さい♡ (2022年7月18日 16時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - はなちゃんさん» はなちゃんさん、こんにちは!コメントありがとうございます! すっごく嬉しいです♡ 「とっくに」まで読み返して頂いたとは……キャラ同士の掛け合いは意識して書いているので、そんな風に感じて頂けるのは本望です…!また友限のお話でお会いしましょう♡ (2022年7月18日 16時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 凜音さん» 凛音さま、はじめまして!コメントありがとうございます♡ 読んで頂いた上、そんな風に言って頂けて泣きそうです…! はい、私も凛音さまに新作通知を出せるよう、妄想に励みますね!(変態っぽくてすみません)またお会い出来ることを楽しみにしています! (2022年7月18日 16時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 那拓さん» 那拓さま、はじめまして!コメントありがとうございます嬉しいです♡ おお、原本の方もお読み頂いたんですか、、読みにくくて申し訳なかったですが(泣)、、そんな風に言って頂き本当に嬉しいです! (2022年7月18日 16時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - あさひゆうひさん» 本当に忙しい時だったのに、、読んでくれてありがとうございました(泣) そうね、師範の連載終えた頃にレッド2にコメ行ったんだよな、確か。あの頃は、まさかキミとこんな関係性(意味深)になれるとは思っていませんでした…!! 内容まで覚えててくれて愛しかねえ!! (2022年7月18日 16時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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