《後編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

52 : 想像以上ですわ。 ページ13

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『うーん………これはなかなか想像以上……』



目の前の状況に、正直怯んだ。


師範あれ、完全に目がいっちゃってるじゃん。

何なの原因。怖。



「トットト止メロヤ！ アホA！」


『あ、スマン爽ちゃんつい』



爽ちゃんに頭を蹴られ、とりあえずわあわあやってる集団に突っ込んでいく。


えー男ばっかじゃん、むさ苦しい。(失礼)



『師範！ ただ今戻りました！』



その中心へと声を張り上げれば、すぐさま向けられた鋭い視線。

いや目ェバッキバキ。



「こンのアホ弟子ィ!! テメェは入ってくんじゃねェ!!」


『いやでも、この子達○しちゃったら隊律違反ですし！』



るっせェどけやァ!!という怒号と共に、飛んできた蹴り。

かすった頬が、切れた気配がした。



うっわこれ本気のヤツ。

鬼にくれてやるレベルじゃないですか！



『………っ、経緯わかんないけど、怒らせたの誰?!』



怒涛の攻撃を全力で避けながら周りを見やると、いくつかの見知った顔。


あ、ちょっと想像ついた。



『我妻善子！ 炭子とそこのモヒカンくん連れて、このまま岩柱様のトコ行きなさい！』


「……うっわぁぁぁん!! Aさん、助けてぇぇぇ!! オレ貰い事故なのォォォォ!!!」


「うるっせえ！ 早よ言った通りにしろやァ!!』



こっちは必死なんだよバカヤロウ。



私の殺意を察知したのか、善子………じゃなかった善逸は、ヒィィィィィ!!と一声叫んだ。


そうして竈門炭治郎とモヒカンくんの首根っこを引っ掴み、ダッシュで逃げ出す。



さすがは雷の呼吸だ、めっちゃ逃げ足速い。

しかし炭子の顔、原型留めてなかったけど大丈夫？



「Aテメェ………覚悟は出来てンだろうなァ……」



ゆらりと目の前に立ちはだかる、青筋ビッキビキの師範。



あ、これ。


……………このまま稽古開始ってことでいいですかね？



『よっ………宜しくお願いします!!』



落ちていた木刀を手に、師範へと向かっていった私は。


この後の自分が無事かどうかまでは、正直自信はなかったのだった。



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