【あんスタ】おおうそつき【深海奏汰】 (ページ13)

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硝子の破片/3 ページ13

「佐賀美先生」

「よお、A……と、深海？」

「おれもいます」

「仁兎。珍しいな、この二人といるなんて」

「あ～、強制連行されたというかなんというか……それより、コイツ診てやってください」

　さっきよりも畏まった口調。さすがは最上級生、といったところか。

「なんだこりゃ、なんかで切ったか？」

　私の腕を取るなり、そんなことを言って首をかしげる先生。

　事情を説明すると、なんとなく目付きが変わったように見えた。

「……奏汰先輩、あとでお金返すので購買でご飯買ってきてください」

「え？」

「昼飯のカツサンド、呼び出しかかったせいで半分も食べないままクラスメイトに譲渡しちゃったんです」

「……あ～、ごめん」

　
　佐賀美先生は消毒液を浸しながら、ばつの悪そうに顔を背けた。

＊

「まさかの立ち食い」

「あんぱん捨てたもんじゃありませんね。おいしいです」

「よかったな……」

　売れ残っていたらしいあんぱんを貪りながら、例の現場へ向かう。

　仁兎先輩はこちらを気遣って歩幅を合わせてくれるが、奏汰先輩はそうでもなく、スタスタと行ってしまった。

　到着すれば、私が被害にあったガラスの破片がまだ飛び散っている。

　昼休みの間に生徒会にお願いして、片付けずに境界線だけ引いてもらったためだ。

「にしても、なんで急に落ちてきたんでしょうか。」

「さぁな。でも、今からそれを調べるんだろ？」

「はい。」

　先に着いていたらしい奏汰先輩は、親切に脚立を用意してくれていた。

「あっ、おれが行くよ。さすがに女の子に任せっきりっていうのもあれだし」

「すみません、じゃあお願いします。」

「おうよ。何すりゃいい？」

「えっと、まず窓の上部……らへんですかね。何か貼ってあったりしません？」

　急に落ちてきた、となればまず考えられるのは上部に何かで貼りつけられている、等。

「ぼくは、どうすればいいですか？」

「奏汰先輩は……あっ、ここの下……裏庭の方に何かあるか見てきてください。」

「は～い」

　指示をしながら、私はプリントや写真を見る。

　どことなく古く、それでもって整備された廊下や窓、それから曇った空が見えるだけだった。

「しながらで悪いんだけど。とりあえず、おれが知っていることを話すよ。」

「はい」

　急に話を振ってきたので、私は慌ててペンとメモ帳を構えた。