【あんスタ】幸せ記録【逆先夏目】 (ページ3)

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1枚目　初めましてページ3

「夏目」

「なぁ二、マミィ」

「これあげる」

　ある日の朝、母親から渡されたのは一台のフィルムカメラだった。

　聞けば、この前出かけた際知り合いに貰ったとか。

「……ボク、」

「こんな趣味はないって？まぁいいじゃない、好きなもの撮ってくるなりなんなりすれば」

「……ハァイ」

「まぁ入学祝いだとでも思いなさい」

そうだ。もうボクは『高校1年生』。

　そのカメラからは、珈琲みたいな苦い匂いが微かにした気がした。

＊

　フィルムカメラは撮り直しがきかない。

　一枚一枚、フィルムに収められる。

　第一に知ったのはそのことだった。

──パシャリ。

　試しに、カメラ越しに目を二匹の猫に向けた。

　ピントを合わせ、シャッターを押せば軽い音が聞こえる。

「……」

　意外と面白い。

　ボクは通学鞄のポケットにカメラを放り込む。

「……学院の方がもっと色々面白いものが撮れそうだよネ」

　特に同意を求めるわけでもないその言葉と同時に、ボクは猫を一匹抱き上げた。

「まぁ、いつ飽きるかは知らないけれド。」

　──これからよろしくネ。