milk/2 ページ10
──落ちたものは、以前ノートに挟まっていた五枚の写真だった。
「ふん、この頃からも憎たらしいほど美形だね」
「光栄です、宗……☆」
「やめろ、抱きつくな鬱陶しい」
別に隠すものでもないし、普通にテーブルに置く。
宗に無理やり剥がされた片腕を伸ばし、暫く飲んでいなかったカフェラテを口に含んで、ちら、と昔の弟子を盗み見た。
うつむき気味な顔は前髪に隠れて見えなかったが、心なしか顔色が悪いように見えた。
「夏目くん?」
「エ?あァ、うン……ちょっト、黒歴史思い出しちゃっただケ。」
確実に3-Bでお馴染みの、
「このこは、だれですか?」
ふと、奏汰がそんなことを口にした。
「いやぁ、正直覚えていないんですよね。なんせ、小さい頃ですから」
「ほう……可愛い子じゃのう」
「そんな自分の孫を見るような目はやめたまえ、零。」
改めて写真を見直してみる。
教室であろう背景、今より短い髪の自分、向かい合ってお互いの手を絡ませる二人。
「そもそも、これいつの写真でしょうか」
「裏になんか書いてなイ?撮った日とカ」
言われて裏返すと、何も書いていなかった。
「まぁ、ふと思い出すということもあるじゃろ。」
「そうですね。」
駄弁っているうち、カップの中の液体は徐々に減っていく。
そんな中、ふと思い出したようにごそごそと鞄の中身を漁る宗の姿があった。
「しゅう?」
「……貴様らにやる」
テーブルの上に乗せたのは、小さな手のひらにも及ばない袋。
「これは?」
「フン、この間出掛けた際に貰ったものだかね。影片は腹を壊すと言うし、僕もいらないから手持ち無沙汰になってしまっているものだ」
「要するに余り物だよねソレ」
「小僧の言うことが最もだな。」
包装紙から見るに、結構お高い菓子のようだ。
「じゃあ、遠慮なく貰うぞい♪」
「ほんとうにえんりょがないですね、れい?」
好き勝手やってる、奇人という名に相応しい行動をしている一同。
「そこの五人、あんま騒がないでよー!うちの店によくeccentricな人達がいるって噂になってるんだからな〜!」
厨房の方から聞こえた店長の声は、静かにスルーした。
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作者名:竜花 | 作成日時:2019年3月8日 20時