検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:22,815 hit

milk/2 ページ10

──落ちたものは、以前ノートに挟まっていた五枚の写真だった。




「ふん、この頃からも憎たらしいほど美形だね」




「光栄です、宗……☆」




「やめろ、抱きつくな鬱陶しい」






 別に隠すものでもないし、普通にテーブルに置く。








 宗に無理やり剥がされた片腕を伸ばし、暫く飲んでいなかったカフェラテを口に含んで、ちら、と昔の弟子を盗み見た。








 うつむき気味な顔は前髪に隠れて見えなかったが、心なしか顔色が悪いように見えた。







「夏目くん?」





「エ?あァ、うン……ちょっト、黒歴史思い出しちゃっただケ。」






 確実に3-Bでお馴染みの、なつめちゃん時代(幼少期)だろう。







「このこは、だれですか?」






 ふと、奏汰がそんなことを口にした。






「いやぁ、正直覚えていないんですよね。なんせ、小さい頃ですから」







「ほう……可愛い子じゃのう」






「そんな自分の孫を見るような目はやめたまえ、零。」








 改めて写真を見直してみる。





 教室であろう背景、今より短い髪の自分、向かい合ってお互いの手を絡ませる二人。







「そもそも、これいつの写真でしょうか」





「裏になんか書いてなイ?撮った日とカ」






 言われて裏返すと、何も書いていなかった。






「まぁ、ふと思い出すということもあるじゃろ。」








「そうですね。」







 駄弁っているうち、カップの中の液体は徐々に減っていく。







 そんな中、ふと思い出したようにごそごそと鞄の中身を漁る宗の姿があった。








「しゅう?」






「……貴様らにやる」






 テーブルの上に乗せたのは、小さな手のひらにも及ばない袋。






「これは?」





「フン、この間出掛けた際に貰ったものだかね。影片は腹を壊すと言うし、僕もいらないから手持ち無沙汰になってしまっているものだ」






「要するに余り物だよねソレ」






「小僧の言うことが最もだな。」






 包装紙から見るに、結構お高い菓子のようだ。







「じゃあ、遠慮なく貰うぞい♪」






「ほんとうにえんりょがないですね、れい?」








 好き勝手やってる、奇人という名に相応しい行動をしている一同。








「そこの五人、あんま騒がないでよー!うちの店によくeccentricな人達がいるって噂になってるんだからな〜!」






 厨房の方から聞こえた店長の声は、静かにスルーした。

milk/3→←milk/1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.6/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
24人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 日々樹渉
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:竜花 | 作成日時:2019年3月8日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。