【第五人格】邪眼を持つ者 (ページ23)

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19話ページ23

意識を失ってからどれほどたったのだろうか

医薬品の独特なあの匂いが蔓延るベッドの上にいた

しかし目を開けても一向に光が見えない

『ここは病院…？今は夜中なのかしら…』

｢ここは病院ですよ｣

左側から声が聞こえてきた

『貴方は…？』

｢私は担当医の者です。そして今は夜中ではありません。｣

『夜中ではない…？なら停電しているのですか？』

｢それも違います…貴方の目はもう光を宿すことは無いでしょう…｣

『え……？それって……キャ！』

ベッドから降りようとした時足に力が入らずバランスを崩しベッドから落ちそうになったところをマーガレットさんに支えてもらった

『すみません……もしかして足も……』

｢そうですね…昨日を失っています｣

『そんな……』

｢こんな時に言うのも酷な話ですが貴方の義父母の話ですが…｣

『生きていますか！？』

｢はい、一命は取り留めましたが目が覚めるかは…｣

『そんな……』

そこからのことはよく覚えていなかった

何をしても何を話されても全て自分の中から抜け落ちていく感覚がした

検査も終わり異常が見つからなかったため入院から通院に変わった

｢菫園さん｣

『はい』

｢これ、貴方を救助した時に大事に握っていたそうだけれど…十字架のネックレスと羽がとじてある栞｣

『あった…私のです。ありがとうございます』

｢大切なものなのね…大事に握られていたそうだから傷一つついてないわ｣

『私の宝物です……』

｢家までは送り届けるわ｣

｢着いたわよ｣

『何から何まで…すみません』

｢気にしないでちょうだい。じゃあ次の診察でね｣

『これからもお世話になります』