君の歌に恋をする 4【歌い手】

ウタコイ１４６ ページ35

本当は、どこかで気がついてたのかもしれない。

そらが好き、って。

初めて会った時、すって荷物持ってくれたりとか。ピンチになると、真っ先に助けに来てくれたりとか。

シェアハウスで過ごして来て、思い出には大体そらがいた。

そしてなにより、そらの…

そ「…＊＊＊＊」

掴んだままの服の裾を見て、そらは何か呟いた。

「あっ、えっと、あ、ごめん…、なんて言った？」

聞き返すと、そらは少し残念そうな顔をしてから

そ「ご飯でしょ、店長に怒られる前に行こう」

そう言って笑った。

「…うん、そうだよね」

なんか残念な気持ちが少し増した。
もう少し、2人でいたかったなあ、なんて。

そらの服から離した手を見つめる。

「っ‼」

瞬間、私は頭の中に急にあるものが浮かんでそらを追い抜いてリビングへ走った。

そ「えっどした？？」

突然のことにそらは驚いていて、リビングに駆け込んで来た私を他のメンバーも怪訝な眼差しで見てくるけど

「店長ごめんなさい‼ご飯あとで食べます‼お昼も夜ごはんもいりません‼少しこもります‼では‼」

そう笑って、部屋に戻った。

好きって気づいた瞬間、私の中にはメロディが溢れて止まらなかったから。

曲が作りたくてたまらなくなってしまったから。

…この曲が完成して。もし、そらが喜んでくれたら。その時は、ちゃんと思いを伝えよう。

そう思って、私はギターを手に取った。

ウタコイ１４７ そらるside→←ウタコイ番外編＊えいぷりるふーる２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す