君の歌に恋をする 4【歌い手】

ウタコイ１４５ ページ32

「そーらー？ごっはんーだよー」

とんとんとん、とドアをノックする。
すると、中から入って、と言う声がした。

なんだろ、と思ってドアを開けると、そこには目がばっちり覚めて作業用の椅子に座るそらがいた。

「なんだ、起きてるじゃん。ごはんだよ」

それだけ言って部屋を出ようとすると、そらに手を掴まれた。

そ「…あのさ、好きな人、いる？」

それにしては珍しく、か細い声だった。
自信がなさそうな、どことなく弱気な声。

振り向くと、うつむいているそらがいた。

好きな、人。

前に、るすくんにも聞かれた気がする。

その時、まだそうゆうのよくわからなかったんだけど、頭の中には、そらとまふと歌詞さんとうらたくんが浮かんでた。

「あのね…」

でも今、その質問に対して頭の中に浮かんだのはたった1人、だった。

「…なんでもない」

顔が熱くて、そらの方を見れない。

急に好きな人の話するなんて、変だよ。

…手、やっぱり、大きくてあったかくて、安心するなあ。

ご飯だから行かなきゃいけないのに、掴まれた手を離されたくなくてどうしてか体が動かなかった。

そ「…ごめんなんでもない、行こっか」

そらは少し寂しそうに笑うと、ぱっと手を離してドアを開けた。

「っあ…」

途端、私は反射的にそらの服の裾を掴んでいた。

そ「え…」

離れたく、ない。
私、そらのこと…。

「…あっ、と、なんでも、ない…」

好き

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