君の歌に恋をする ２【歌い手】

ウタコイ７８ ページ46

荒ぶるリスナーさんをなだめ、フリーズした猫さん達を無言の圧力により叩きおこすと、放送を切った

だって、なんかもういいかなって感じになってたから…((

そういえば猫さんさ、さっきからなんで男子と一緒にツンデレ萌えとか騒いでるのですかね

あなた女でしょ、女に萌えてどうすんのさ

まさかそっちの人じゃないよね、前に彼氏いたもんね？

え、あれ、私の記憶違いですかね？

歌「ねぇキラちゃん、本当に…嫌いって思ってない？」

萌え萌え騒いでるおバカさん達を(辛辣)座って眺めていると、隣で座ってたあの人から優しく話しかけられた

「歌詞さん…」

いつもどこか余裕があって落ち着いている歌詞さんの目が、不安の色でいっぱいになっていた

私の言葉で傷ついてしまったのか、眉も下がっている

今歌詞さんに犬の耳が生えてたら、確実に項垂れてると思う

…お父さんキャラの時だったら、絶対こんな姿見せてくれないんだろうな

「私は、シェアハウスに来る前から歌詞さんの歌に助けられてきました
シェアハウスに来てからも、たくさんたくさん優しくしてもらって、助けてもらいました
…そんな優しい人、私は嫌いになれないです」

立ち上がって、私より高い位置にあった頭を撫でると、歌詞さんは落ち着いたように微笑んだ

その笑顔は、とっても無邪気で幼くて、いつもとのギャップに、ちょっとキュンとした

歌「ありがとう、キラちゃん
…僕のことこんなに翻弄するのなんて、キラちゃんくらいだよ」

歌詞さんの頭の上に乗っていた私の手を、歌詞さんの大きな手が包み込んだ

その手はあったかくて、優しくて、包まれて守られてるみたいな安心感があった

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