君の歌に恋をする【歌い手】

ウタコイ３７ 歌詞太郎side ページ41

みんながキラちゃんに抱きついたりして想いを伝える中、僕の隣には寂しそうにそれを見つめる人がいた

歌「店長、どうしていかないの？」

彼は、キラちゃんのことを大切に思っている

今この瞬間、彼女には彼の言葉も必要なのに、彼は自分の出る幕じゃないと言わんばかりに佇んでいた

店「…俺の言葉は、あの子には届かないよ」

同じような体験をしたのでも、なんでもない俺には

そう言う割には、今にでも抱きついて想いをありのままぶつけたそうな顔をしているけど

歌「店長、それは違うんじゃない？

それを言うなら、今この場にキラちゃんの心に言葉を届けられる人なんていないよ」

キラちゃんの孤独は深い

まふくんもいい勝負な経験をしてきてはいるけど、やっぱり辛さで言えばキラちゃんには勝てないんじゃないかな

歌「あの子の心の空白を埋めるには、ひとつでも多くの言葉をかけてあげる必要がある

…店長の言葉だって、例には違わない」

みんなからの愛の欠片を受け取ったキラちゃんは、泣きじゃくりながら頑張って笑みを貼り付けようとしている

店「…本当に、届くかな？」

…店長はこういうところで悩んでしまう

いつもなら、店長が悩みたいだけ悩ませるんだけど

でも、今は背中を押してあげなきゃダメだ

歌「届くよ…絶対に

だから、行こう？店長」

そう言って背中を 物理的に押しながらキラちゃんの前まで連れて行くと、店長はキラちゃんの頭を撫で回して

店「俺、キラちゃんが欲しがってた愛情、全力で注ぐから…キラちゃんはもう、ひとりじゃないよ」

そう言って笑った

キラちゃんは、途切れ途切れにありがとうと呟いた

…次は僕の番かな

歌「…みんな、キラちゃんのこと大好きって思ってる

リスナーさんもそうだし、俺たちだってもちろんそうだよ」

そう言ってキラちゃんの手を掴んだ

すると

キラちゃんは、前までとは違う

何か吹っ切れたような顔で、僕達に微笑んだ

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