推しと運命だなんて聞いてない【太宰治】

11話 ページ12

可愛いって罪だよね。


前世から思ってたけど本当に可愛いってずるい。それを前世、友人(美人)(自覚済み)に言ったことがある。返ってきたのは「うーん、まあでもいろいろ大変だよ」


いっけなーい、殺意殺意！殴ってやろうかと思わず机の下でグーを作ったのを思い出した。


なぜ思い出したかって？




郵便ポストに入っていたAさんへ、と書かれた白い封筒と一本のバラ。その花言葉は一目惚れらしい。



初めこそ「だだだざいさんのちょっぴり悪質ないたずらカナ！」とか思ってたけど、中身を見た途端その考えは打ち砕かれた。



5、6枚のカメラを見ていない私の写真。制服、私服、中には家の中で寛ぐパジャマ姿のものもあった。恐る恐る周りを見渡すもやっぱり誰もいない。




….あー、可愛いって大変！！！！(震え声)









「Aちゃん！」

「ああ、ごめんなさい、えーと、なんの話でしたっけ？」


くっ、私としたことがストーカーごときにメンタルをやられるとは不覚。推しが目の前にいる幸せを忘れるなこのクズ！グッとコーヒーを飲み干した。


そう自分を叱咤するも、確実に自分のSAN値をゴリゴリ削りにきてる。＼(・ω・＼)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!はい黙ります。



「最近元気がないようだけど、何かあったのかい？体調悪い？」



コンシーラーで完璧にカバーしたはずのクマをなでなでする太宰さんの親指を制しつつ、相談するか否か脳内会議を開いた。だいぶ触れられるのにも慣れてきた。







う〜〜ん、やっぱり相談は見送りで。

私という存在は原作にはいらない異物。ただでさえ太宰さんと運命で、文ストにはない恋愛要素をブッ込んでしまっているのに…普通に処刑案件だからなあ。


たかが一般人の悩みを相談したところで、太宰さんにとってはデメリットしかない。しかも私たちは運命の番だから一緒にいるだけであって、お互い好きでもなんでもない。

泣きそうだからこれ以上はやめておくね……ぐすん。






「なんでもありません。課題の量が多くて、寝不足気味なだけですよ」

「嘘」

「えっ」

「まだ使えそうだから言わないけど、君には癖があるんだ。嘘をつくとき特有のね。自分では分からないだろう？」



…あかん、そういやポートマフィア元幹部だったわ

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