【文スト×名探偵コナン】新双黒と迷いこみました (ページ5)

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第参幕ページ5

【横浜への帰り道】

『……可笑しい、なぁ』

こういう時、何時もならこんな遠くに飛ばされるはずがないのに。精々、ヨコハマ内だ。Aの不安が心の中をひたすらよぎる。

思えば、服装だってAたちのような人達は少ない。横浜の人もAの知っている人も、大体はこんな服装をしている。

首都も違うのだ。なら、これは夢だろうか。だが、確実に夢とは違う感覚＿＿＿＿、否、現実でいることに間違いはないのだ。

「俥で一刻半もかかるとは……。何時もこの様なことはなかったのだがな」

『………』

「皆に遅くなるって伝えなくちゃ……」

「お姉さんたち、横浜から来たの?いーなぁ!!歩美も大観覧車に乗りたい!!」

「「……え／は?」」

そうなのだ、普通はこんなことありえない。ヨコハマの犯罪者達の殺傷能力は何百倍にも跳ね上がり、事件も事故も犯罪も絶えない。

ヨコハマ外に住む人間は、あまり入りたがらない地域なのだから。今の少女の発言は可笑しい。そして確証へと至る。ここは＿＿＿。

「あ、あのさ。異能力って知ってる?」

「異能力、ですか?アニメとか漫画に出てきそうですね!!」

『……阿波破』

「真逆、な」

乾いた笑い声と、掠れた震える声。敦なんかはもう驚きで声が出ない。異能ぐらいは噂というか、都市伝説的なので知っているはず。

「僕等は、帰れない、のか……?」

「な、なななな、何言ってんだよ、芥川！！そんな訳ないだろ……!!」

『敦くん、現実逃避しないで……。御免ね許してすいませんでした本当にどうしよう嫌だ……!!』

「A、落ち着け……。そんなに捲し立てても何も変わらん……」

「もう言葉喋るのもやっとな芥川に言われたくないだろ」

軽いパニックだ。嗚呼、最悪だ。さっきの仕事を終えたら、昼食をとるはずだったのに……。いや、深夜だったからもう夜食か。

嗚呼、ブラックだ。昼食だと思ったら最早、夕食すら通り越えて夜食だったなんて……。Aは空腹な胃の辺りをそっと撫でた。

『お腹空いたなぁ……』

「あ、僕も」

「……多少、小腹は空いたな」

『私と龍くん、一昨日から何も食べてないもんね……』

「ブラックだなぁ」

「ブラックではないマフィアがあるわけないだろ」

「マフィア……?」

「「『……あ』」」

眼鏡の少年の刺すような視線が、更に鋭く研ぎ澄まされた。失言をした芥川は、口元に手をあてて目線が会わないようにしている。