第玖幕 ページ11
【食事に難問、謎は菓子ではない】
褐色の掌から運ばれたご馳走と共に、不吉な声。構わずフォークに手を伸ばし、口に入れた。だが、どうやら無視はできないらしい。
「皆さん、名の有る文豪と同じ名前なんて……。偶然にも程がありますねぇ……?それに、現在の日本では学校に通わせる義務教育がある。おかしいですね?」
探るような視線に、コナンが緊張したように体を震わせた。盗み聞きをするなんて、最低な。マフィアと同じではないか。
「探偵社って単語も聞こえたんですけど」
「探偵社……?お兄さん達、探偵なの?」
「え?まぁね。僕は探偵社の新人だよ」
「ずいぶん、お若いんですね」
「まだ齢18なもので……」
「そうなんですか。では、そちらのお二人のご職業は?先程、仕事で来たと仰ってましたけど……」
蒼眼と目線が合う。どう繕おうにも、之、バレるやつだろうな。素知らぬ顔でハムサンドを口に入れる芥川。……否、可愛いなぁ。
じっと見つめていれば、欲っしているとでも勘違いしたのだろうか。食べかけのハムサンドを突き出された。有り難く一口貰うが。
樋口だったら悶えて死にかけると思う(確信)。芥川がこうして食べかけをあげるなんて、銀か私ぐらいなものだろうけども。
『……何だと思います?』
「……え?」
『懸賞金でも付けましょうか。多分、当てられないと思いますけれど』
「太宰さんもそれ、前職のやつでやってましたね。結局、誰もお金は得られなかったけど」
「……人虎、貴様如きが太宰さんの名を軽々しく呼ぶな」
ぞわりと全身の毛が逆立つ殺気。それに慣れた体は、もう既に七つの時には平然と変わらぬ体と化してしまったのだが……。
太宰のことになると殺気立つ芥川を宥めて、無理矢理笑いかけた。だが、その蒼眼は芥川を捕らえていてそれはコナンも同じだ。
「そうですね。とある組織にいる、とか」
『具体的にはどのような?』
「黒ずくめの組織ですよ、黒の組織。裏で人を殺したり、それを隠蔽したり。後はコードネームなんかも。世界中を暗躍する極悪非道な組織」
『阿波破、そんな映画の観すぎですよ』
そういえば、数年前にスパイ映画だかなんだかやっていたような。私と同じ時代に生まれたのが間違いだったな、みたいな台詞の。
「ちなみに年齢は……」
『今年で私も彼も二十歳です』
「へぇ!!ボク、もっと年齢低いのかと思ってた……」
「……小僧、それは僕が童顔だと?」
「ち、違うよ!!」
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作者名:セニオリス | 作成日時:2019年10月18日 22時