第拾幕 ページ12
【無駄なお喋りは無用】
「そういえば、自己紹介まだでしたよね。僕は安室透といいます」
「へぇ、そうなんですか」
「あ、先程も述べた通り、皆さんの名前は聞こえていたんで大丈夫ですよ」
「……盗み聞きの間違いではないのか?」
「いやいや、盗み聞きなんてしてませんよ」
芥川が問いただせば、薄っぺらい笑顔を浮かべて両手を振る。この店員はやはり苦手だ。何を探ろうとしているのだろうか。
先程の質問も後半以外、ほぼ辺りと云って良い。マフィアのほとんどは黒い服を着こなしているし、殺しも日常茶飯に違いない。
行動偽名(コードネーム)はないと思う。五大幹部のA(エース)が行動偽名なのかもしれないが。世界中を暗躍しているのか。
それもまた、分からない。ヨコハマを拠点としてヨコハマで繰り広げられている戦闘が余程多いから、そう感じるだけだろうけども。
「僕、本職は探偵なんですよ」
『……探偵?』
「えぇ、眠りの小五郎の一番弟子です。ほら、ここの二階に毛利先生の事務所がありますよね」
ぼんやりと思い浮かべる。嗚呼、確かにそんなのが二階にあった気もする。異名がつくほど有名らしいが、知らないものは知らない。
「そういえば、コナンくんはこの上に暮らしてるって云ってたよね?」
「ボクは居候……、お母さんとお父さんが遠いところに仕事に行ってて」
「子供を置いていくとは、随分と自分勝手な両親だな。到底、理解などできぬ」
『まず、親という概念が分からない私達には理解なんてしなくても良いんじゃないかな』
「え?でも、Aさんには……」
『あの人はただの幼女趣味(ロリコン)』
「……皆さん、両親は……」
「ぼ、僕は孤児で。物心つく頃には、孤児院にいましたから……」
「僕は貧民街の出。親など知らぬ。仲間と呼べるべき孤児と身を寄せ、明日も生きれるか分からぬ日々よ」
『私はその、親はもう赤子の時に殺されて。育ての親は居ますけど……。まぁ、無責任な人でして』
「……辛いことを聞いてしまって申し訳ないです」
深々とただの店員にお辞儀をされても困る。
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作者名:セニオリス | 作成日時:2019年10月18日 22時