27-8人の皇子たち- ページ28
「和泉億斗さん。一瞬で目を奪われるような圧巻の演技は、即戦力として欠かせません。見ていると胸がアツくなるんです」
そして億斗。圧倒的なパフォーマンスは、確かな高揚感と満足感をくれた。
「この8人が揃ったとき、1人ひとりの魅力がもっと大きくなる。初めて彼らを見たとき……あの時、感じたんです」
バスケをしていた8人。一生懸命ボールを追いかけ前を向き上を向いて進む彼らから目が離せなかった。
「8人でやらせてください。絶対に売り出してみせます」
「8人の面倒を見るのは大変だよ?」
「一生懸命頑張ります」
「絶対に?」
確かめるような音晴の声。目を逸らさずに断言する。
「絶対です。それに……」
伝えたいことをここ1番、大きな声で。
「『3匹の小ぶた』よりも、『8人の皇子たち』のほうがカッコいいです!」
……言い切った。私は精一杯やれることをやった。あとはお願い、頷いて──
「……ぷっ、あははっ!」
先程までの空気から一転、音晴の笑い声が社長室に響き渡る。きょとんとして見る紡と、音晴を見上げて鳴くきなこ、その後方では万理が嬉しそうに笑っている。
「あ、あの……?」
「……君が3人選んできたら、あの子達もその程度のアイドル。君もその程度のマネージャー」
すとん。胸に張り詰めていた何かが消える。
見慣れた柔和な笑みではない、朱い瞳を見せる音晴。
「僕の目に狂いがなくてよかった」
「……じゃあ、最初から8人でいくつもりで……ひどいお父さん、騙したの!?」
机に手をついて身を乗り出す。しかし音晴は愉快そうに笑うだけであった。
「はっはっはっ。でも、あの子達の魅力について、一所懸命考えられただろう?」
「それはそうだけど……」
「マネージャーなら、自分の担当するアイドルの魅力を知っていて然るべき。違うかい?」
「……」
全く持ってその通りだ。しゅんとしたような紡を見て、音晴が誇らしげに微笑む。
「いい娘を持って嬉しいよ。天国の母さんも、きっと喜んでる」
「お父さん……」
音晴の笑みに一瞬だけ影が落とされた気がしたのは気のせいだろうか。
音晴はきなこを抱いたまま、紡の心配をはね除けるように立ち上がった。
「さて、今日は特別に赤飯弁当だ。新しいアイドルグループの結成祝いをしないとね!」
「……はい!」
音晴の言葉に、紡は満面の笑みで返す。
早く8人に結果を伝えたい。
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久薙聖楠(プロフ) - 真紅さん» きゃー!!!そっちです!!!!ずっと直そう直そうと思って忘れてましたありがとうございますすみません〜〜〜〜!!!!!恥ずかしいし申し訳ない(´;-;`) (2018年4月16日 17時) (レス) id: ae62bd0b5f (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - すいません!スペックのfpはピアノフォルテではなく、フォルテピアノと読むのではないですか?(あえてピアノフォルテと表記してるならすいません!) (2018年4月16日 14時) (レス) id: bfa0214c95 (このIDを非表示/違反報告)
久薙聖楠(プロフ) - アユラさん» ありがとうございます!!!頑張って書き続けていきます!!!(・д・ = ・д・) (2018年4月15日 15時) (レス) id: ae62bd0b5f (このIDを非表示/違反報告)
アユラ - メチャ面白くないすかこの小説...(°_°)ハマりましたよwこれからも更新頑張ってくだせぇなd( ̄  ̄)応援してますよ( *`ω´)ファイトだぜぇ!!w (2018年4月14日 23時) (レス) id: 22855408aa (このIDを非表示/違反報告)
久薙聖楠(プロフ) - 夢巫女さん» ありがとうございます!!!伏線張っていきたいと思いますが、張りすぎて先が読めたり「思ったより内容ショボいじゃねーか」とはならないように気をつけたいと思います(笑)今絶賛執筆途中ですのでもう少しだけお時間ください!!_( _´ω`)_ (2018年4月13日 22時) (レス) id: ae62bd0b5f (このIDを非表示/違反報告)
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