クラスの地味女が人気歌い手だった件その１

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Aside

「A！おはよー！」

と校門近くで話しかけて来るのは親友の荒谷(いりたに) 梨菜(りな)。

まぁハイテンションな馬鹿だ。

歌い手大好きっ子だ。

そう言う私も学校ではうるさい猫を被った陽キャだが。

「梨菜おっはー！」

「今日遅いやん。寝坊したん？」

あ。言うの忘れとった。

梨菜は関西弁だったよ。

「ううん。親戚の家に預けられて道分かんなかったから送ってもらって来た。」

と言うと、

「ずるない？それ。優しすぎるやろ。親戚。」

嘘つくね。ごめん。こればかりは言えない。

「とりま。行こー！クラス。」

と一緒にいると歌い手の話題に。

「ねーねー！昨日のツイキャス見たー？
そらまふまりさかに浦田さん！めっちゃ良かったー！まりっていうのはまりもちゃんでね〜。」

と長々と説明されるが昨日のことを話されている。

それ私なんですけど。

何て口が裂けても言えるものか！

「A〜？聞ーてる？」

「うん。昨日さ寝れなかったんだよね。
だからぼけっとしてる可能性高いかも。」

というと梨菜は何で？という顔になる。

あ、やべ。

クラスに入っても歌い手。

まじ死ぬかと思う。

だって自分の話題なんだもん…。

–––––

授業も全て終わった。

後は帰るだけなんだけど電話しないといけないことに気付く。

しかも今日は全ての部活がない日。

私には関係ないけど。

私はトイレに行って電話をすることにした。

「えーっと。まふ…？俺終わったからお願いします。」

「僕が行くー。」

は！？何言ってるの！？

大物歌い手が学校に来たら発狂されるって言うのに！！

まぁ私はバレて無いから良いけど。

「裏門来てくれる？流石に正門はバレるから…。」

と言うと、

「裏門ね！多分分かる。体育館裏？」

「そこ！お願いね。すぐ行く！」

私はトイレから出て荷物を取りに教室へ向かう。

荷物を持ち裏門へ向かった。

事実裏門はあまり使うなと注意されているけど。

待って数分。まふが来た。

「A〜！ごめん！待った？」

「ううん。今来たばっか。
まふこそごめんね。忙しい中来てくれて。」

私、悪いと思う。迷惑かけてばっかりで。

2人で歌う曲を話しながら帰った。

でも知らない。

この光景を誰かに見られていることを。

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