ギィ……バタン ページ17
時折ふらりと福沢さんは闇医院に現れるかと思えば森さん共にとこの裏社会で暗躍する組織や異国の者達を潰す。そんな日々が暫く続き、そしてやっと武装探偵社が作られ始めた頃だった。
森さんに俺は急かされ何時もの少し大きい白衣を羽織り幾つかの医療道具と薬を持たされ何も言わぬまま連れ出された。
俺は鞄を落とさないよう気を付けながら小走りに森さんについて行く。
「なぁっ!何処行くんだよ…っ森さんっ!」
「秘密だよ」
俺は少し息が上がりながらも訪ねると無表情なまま森さんに言われる。
…その瞬間ざわっと悪寒が走ったのは気のせいだと思いたい。
そう思いながら俺は無言でついて行った。
そしてやっと着いた施設の一室へと森さんが入る。
言わずもがな施設の奴等は全員死んだ後だ。
森さんが虚ろな目をした少女に手を出し告げる。
「漸く見付けたよ。もう一度君の異能が必要だ」
そして少女は返答も聞かれぬまま車椅子に乗せられ施設から連れ出された。
俺は目の前に居る少女に森さんが掛けたもう一度と言う言葉に俺は考える。
森さんは元軍医。
其処でこの少女は助手でもしていたのだろうか?だけど隔離される理由が思い付かないなぁ…
なんて考えていると目の前に福沢さんとつまらなそうに頭の後ろで手を組む少年が居た。
「貴君の遣り方は間違っている」
「何が間違っているのですか?」
膨大な殺気が空間を占めた。
少女は虚ろな目で、少年は欠伸をして興味無さそうに、そして俺はその様子で全てを悟り見ていた。
福沢さんとの同盟も、何もかもが今日終わるのだなと。
そう思いながら俺はそっと目を伏せた。
「彼女を再び地獄に引き戻すだと?それが人の所業か森医師!」
「彼女こそ『三刻構想』の…街の平和の要なのです!強大な現マフィア首領を打破するには与謝野君が率いる『不死聯隊』が唯一の最適解!」
激しい鍔迫り合いを繰り返しながら互いに反論し合う。
「何が最適解か!貴君の論理には『心』が無い!」
「戦争とは!『心』を配慮した側が先に負ける遊戯です!」
「ならば貴君との同盟も今日限りだ!」
「今日限りなのは貴方の命です!」
俺はそんな争いの中そっと車椅子を引いた。
ギィ……バタン
そして屋上を後にした。
【桐崎君にとっての周りの印象】
乱歩:唯一異能で一度自分の事を忘れた筈なのに覚えてくれた人物。推理だけで自分との関係を割り出した乱歩の事は本当に凄いと尊敬している。
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那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 倉の中の石さん» ありがとうございます!思惑通りに暗い過去と思って頂けてついガッツポーズを仕掛けました(笑)続編頑張りますね!! (2019年7月8日 0時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
倉の中の石 - すごく面白いです。こんなに自然な暗い過去は久しぶりに見ました。続編も頑張ってください。 (2019年7月7日 17時) (レス) id: 873805d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@グラブル中毒者(プロフ) - 鶴さん» 読んで頂きありがとうございます!更新頑張りますね!! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 480a6a9b45 (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2019年7月7日 14時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
那戯田沢 亜須@スマホ使用不可で低浮上中(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!まだ推敲中ですががんばりますね!! (2019年7月5日 20時) (レス) id: a29dbc7b52 (このIDを非表示/違反報告)
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