退職七回目 ページ9
目の前をすぐ過ぎ去って行く景色を眺める。
俺は今東京へと電車に乗って向かっている。何時も見ている街並みを名残惜しく思う。
この暗殺が終われば俺は組織を抜け地下に潜るつもりだ。だからこの景色を見るのも殆ど無くなるに等しい。
俺はぼんやりと呟く。
「…何時までもあの三人と居られたならこう思う事も無かったんだろうな…」
あぁ、糞。まだ変わりやしない未来を引きずってる自分に腹が立つ。
もう諦めたのだと朝、自分に言い聞かせたのに
何でこんなにもツライんだ…
感情なんて…
関係なんて…
繋がりなんて…
思い出なんて…
何も変えれない自分なんて…
無くなれば良いのに
ボロボロと目から溢れ落ちていく滴を拭いながらそう思い続ける。
あぁ、もう
織田作さんが死ぬ前に、自分が悲しんでしまう前に死んでしまいたい…
「だけど駄目なんだよな…」
残された太宰を俺はちゃんと織田作さんの代わりに見てあげなければいけないから。
それに、
「ーーと約束しちまったしな…」
俺が幾度となく繰り返した中でーーと約束した事を破る訳にはいかない。
……どれだけーーが覚えていなくても俺はーーとの約束を守らなくちゃいけない。
俺はそう言い聞かせもう一度自分の目に焼き付ける様にヨコハマの街並みを見つめた。
ーー
短い…そしてセンチメンタル回だった…
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