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退職三回目 ページ5

安吾が太宰の隣のスツールに座りうんざりした様子で答える。

「釣りです。わざわざ東京まで行って雨の中八時まで粘ったのに手に入ったのはこの贋作の骨董時計一つです」

そう言い鞄の中身を見せる安吾に少し同情を含んだ笑みで見る。
あぁ、因みに釣りとはマフィアの隠語で密輸品の取引の事だ。
すると一通り愚痴を聞いた後そう言えばと言うように太宰が織田作さんに尋ねる。

「そう言えば織田作の仕事の愚痴って聞いたことないよねぇ?」

「俺の様な下級構成員の愚痴など聞いても楽しくないぞ?」

そう首を傾げて言う織田作さんに対して太宰がジト目で否定する。

「まぁたそんな事いって……実は織田作の仕事の愚痴の方が面白いのだよ?今日は何をしたの?」

そう聞かれて織田作さんは指を折りながら順に答えていく。
そして不発弾の処理と聞いたとたん太宰が目を輝かせた。
……何度も何度も見てきたやり取りだ。
俺はソッと目を伏せ心の中で呟く。

「何時までもこのままで居れたら良かったのに……」

だけどそれは叶わない。
そんな事を考えている内に話が進んだようで太宰が少し楽しげに言う。

「そうだ!写真を撮ろうよ!記念にね!」

「何の記念だ?」

「さぁ?此処に四人全員集まった記念とか?もしくは安吾の出張完了祝いとか?理由は何でもいいのさ。今撮らないと我々がこうして集まった事実が無くなる気がするんだ」

そう少し儚げに笑う太宰に俺は胸が痛くなった。
多分、こいつはもう此処で何かが崩れ始める事を察して居たのだろう。
俺は懸命に泣くのを我慢してカメラに顔を向けた。
この先にある悲劇を知りながらも……


ーー
更新遅くてすみません!
実は今手元に原作が無いのでうろ覚えで書いてるんです(泣)
もし宜しければ台詞が違う所などの修正をコメントで言って頂けると嬉しいです:( ;´д`;):
身勝手で誠に申し訳ありません!!

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作者名:那戯田沢 亜須 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年3月7日 2時

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