Legend Story5 (ページ28)

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目を覚ますたびに水分を摂らせようとスポーツドリンクを飲ませるんだけど、飲んでる量は明らかに出る量より少ない。

「郁人、一回病院行こ。」

そう言って、郁人を抱き抱えて病院に向かった。

「もう下痢がきてるんだね。吐き気はおさまったかな？」

先生は郁人のお腹を触診しながら、郁人に問いかける。

「ん、やぁ!!…」

「そうですね、夕方くらいから…最後に吐いたのは昼ごはんのときです」

拗ねちゃってだだっ子モードの郁人の代わりに晃にぃが返事をして、俺は嫌がって先生を突き飛ばそうとする郁人の腕を押さえた。

熱も吐き気も腹痛も全部あってしんどいのに、オムツまでさせられてもう心が子供になんないと耐えられなかったのかな。

嫌だと暴れる郁人を慰めるようにポンポンとあやしながら、診察が終わるのを待った。

「熱も出ちゃったかー」

耳に体温計を差し込んで示された数値に、先生が顔を歪める。

「じゃあ点滴に解熱剤入れておくね。ご飯はちゃんと食べた？」

「食べた!いーっぱい食べた!!」

「ほとんど吐いちゃったけどね」

自慢気な郁人の申告に、苦笑いの晃にぃが付け加える。

「ちゃんと食べたんだ、えらいね」

それでも郁人は先生にそう誉められて嬉しそうだった。

「じゃあ点滴終わるまでゆっくりしててね。郁人くん、抜いちゃダメだぞ」

どうやら点滴が繋がれた部分が気になって仕方ない郁人に、先生は笑顔で釘を刺し病室を出ていった。

病室に椅子がなかったので郁人の車イスに座っていると、ベッドで横になっていた郁人に

「りょうすけ！それ俺のだぞ!!」

って。
気に入らなかったようで怒られちゃった。

俺に向かって手を伸ばす郁人の身体を支えながら、晃にぃがまた苦笑いする。

「ごめんごめん」

そう言って立ち上がった。

俺が車イスに座ってないことを確認した郁人は、安心したのかコテンと眠りに落ちた。

眠ってる間に晃にぃは郁人のオムツを替える。

「もう少し…」

「ん?」

「もう少しでよくなるよね。郁人が調子悪いとこっちの調子も狂うよ」

自嘲ぎみに小さく笑った晃にぃの頭をそっと撫でた。

「えっ、なに(笑)」

「晃にぃも優しくされたいのかなーって思って」

「んふふ、んなわけねぇだろ」

それでもずっと厳しい顔してた晃にぃがフワッと笑ってくれたから、俺はもう満足です！

郁人、はやく元気になってよ。

そんな願いを込めて、眠る郁人の頭を撫でた。