Legend Story5 (ページ15)

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しばらくして郁人の車イスを押した僚ちゃんが入ってきて、僚ちゃんは郁人を抱き上げて晃にぃの隣のベットに降ろす。
郁人はうつ伏せになり、もぞもぞと上の服を脱ごうとしているから、何をしているのかと思いながらそれを手伝う。

「さっき、晃にぃに押されて転けちゃったんだって。
看護師さんから湿布もらったから貼ってあげようと思って」

ぺりぺりと湿布を剥がしている僚ちゃんが、不思議そうにしている俺の視線に気づいて言った。

「…僚ちゃん、なんだか今日は頼もしいな…」

「なんだよそれー!いつも頼んないみたいじゃん!!」

「うん、まあ…頼りがいがあるとは言いづらい…」

「えー!?そんなぁ!」

「ちょっと、寒いから早く貼ってよ!」

郁人からの声に僚ちゃんは慌てて湿布を貼った。

服を着直して車イスに戻った郁人は、晃にぃの手を握りながら何があったか説明してくれた。

「そっか…」

「もし店休めとか言ったら、余計悪化しそうだな…」

まるで執念のような店への思いに俺らがどうやって晃にぃを休ませるかを考えていると、遠くで俺たちを見ていた良亮が何かを決めたように、うんっ!と声をあげる。

「俺が店手伝うよ!!」

「…?」
「えっ?」
「はぁっ!?」

?が頭に浮かぶ俺らを他所に、良亮はストンと椅子に腰を降ろす。

「晃にぃがマスターで、俺がウェイター」

自分と晃にぃを交互に指差しながらそう言って、我ながらいい考え!と鼻息荒く興奮している。

「俺も何かしたいなーって思ってたの。みんな働いてんのに、俺だけ何もしてなかったじゃん?」

うんまあ確かに。
良亮は自宅を防衛してくれているものだとばかり思っていたぞ。

「晃にぃは店続けられるし、俺だって働けるし。
晃にぃが無理しそうだったらすぐ止められるし!!」

ね?いいでしょ?と瞳を輝かせる末っ子の肩をがしりと掴む。

「…すげぇな、良亮は」

「え?」

「俺らはこの頑固兄貴にどうやって休店を納得させるかを考えていたのに、お前はそんな折衷案を…!!」

「せっちゅーあん?」

「いや!素晴らしい!!これなら晃にぃも納得するだろ!というか、もうこれしかない!!」

わしゃわしゃと良亮の頭を撫でてぎゅーっと抱き締めた。

「ちょっ、しょーにい!!」

「いいね!それ!!晃にぃもお店一人じゃ寂しいだろうしねー!」

「お前、あのクレーマー殴ったりすんじゃねーぞ?」

「しないよ、そんなこと!ちゃんともう来ないでくださいって言って、わかってもらう」

「それでいい‼さすが良亮だ!」