第18話 脱出条件の考察1 ページ18
「エラちゃん、可愛いね」
「あ、あああ、ありがとう! ルー君もかっこいいよ」
「ん、ありがと」
少し頬を赤くしたルー君にこっちまで微笑んでしまう。
「あれ、エラちゃん。その人が服を貸してくれた人?」
「そうよ〜私はティアナ・ヒルトマン。気軽にティアナと呼んでね」
「僕はルートヴィヒ・フェルカーです」
よろしくね、とルー君とティアナさんは握手した。少しの間手を握り合って、そして互いに微笑むと手を離していく。その動作の流れが酷くゆっくりに見えたのは私だけなのかな。
「そういえば店長は?」
「まだ着替えているのかもよ」
そう会話しているところにホルストさんがやって来た。恭しくお辞儀をして「ご紳士様なら先程、ダイニングの方に向かわれました」と説明をする。
私とルー君がこういう格好なのだからフリッツさんも礼服の可能性があるよね……それにしては着替えるのが早いような。着慣れているとか?……うーん、あんまりフリッツさんの御家事情知らないんだよねえ。
「さあ、御二方もどうぞ」
「え? 御二方って……ティアナさんは?」
「ごめんなさい、私はもう食べちゃったのよ」
バイバーイと軽い声で挨拶して手をヒラヒラ振りながら反対方向へと行ってしまった。それではこちらへ、とホルストさんが先頭を歩く。ドキドキしながら歩いていると、先を歩いていたルー君が歩幅を合わせて私の隣に来る。
どうしたの? って聞こうとしたらその前にルー君は口の前に人差し指を当ててシーッと言った。
「静かに。執事さんに聞かれないくらいの小声で喋ろう」
「う、うん。どうしたの?」
ルー君はじっと先頭を歩くホルストさんを見てから安堵の溜息を吐いて話を再開する。
「エラちゃん、ここの館の噂は覚えているよね?」
「『屋敷の住人の正体を見抜かない限りお家に帰れない』だよね」
「うん。ここの人達は優しいけれど、"正体を見抜く"っていう条件があるって事は……人ならざる者が最低1人はいるって事だよ」
「このお屋敷にいる人全員が人ならざる者って可能性もあるよね」
ルー君は首を横に振った。
3人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» なるほど、ありがとうございます! (2021年4月3日 18時) (レス) id: 8219e67f68 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - ルツ・ヒューイットさん» 確か、エラという名前には美しいという意味があったはずです。平凡な見た目でも芯の真っ直ぐな美しい子、というイメージで名付けました。 (2021年4月3日 18時) (レス) id: 5f459e3a39 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 主人公のエラちゃんのお名前って可愛いですよね。この名前にしようと思ったきっかけは何ですか? (2021年4月3日 18時) (レス) id: 8219e67f68 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - ルツ・ヒューイットさん» そこら辺もまだ語れません……今後に乞うご期待です! (2020年11月4日 10時) (レス) id: 9dfed805b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - そういえば思った事ですが、幽霊や心霊現象も含まれますか? (2020年11月4日 7時) (レス) id: ac128bc03f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:新藤緋色 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homepageofSHS/
作成日時:2020年3月29日 23時