【銀魂】あのアイツが可愛いのは今に決まったことじゃない。

100［自分に正直に］ ページ10

銀時side









Aの寝顔を見ているとふつふつと溢れかえってくる想いが一つ。

いつも見てきた表情とは違い、女性の寝顔。

薄暗い部屋の中で男女が二人。









...やばくね？

正直酒の勢いで流れに乗って部屋に入ったけど

考えもなしに入ったけどもォォォ！







寝息を立てる彼女の隣で俺は頭をただ一人抱えていた。









あれ？Aってこんな顔してたっけ。

こんなに美じ...いや、これは酒が入っているからであって断じて俺はコイツの事など...

だがココ最近Aを見れば知らないうちに笑いがこみ上げてきて。








畳を指ですっとなぞってから木造の窓の木の間から見える月を見上げた。








もしかして俺ァコイツに...

惚れ...？

え、うっそ...マジかよ。









病名が分かった瞬間に脱力した。

簡単なことだった。自分に素直になればすぐに見つけられる。

単純な答えをもしかしたら自分で見て見ぬふりをしていたのかもしれない。

思い当たる節がいくつもあって自嘲気味に鼻で笑った。







情けねぇな、なんて。








Aの顔を眺めているうちに一瞬、洗いざらいにこの想いをぶちまけそうになった。

だが収まろうとしないこの衝動的な想いは口からこぼれる。








俺はコイツに...









｢惚れてらァ...｣








言葉にした途端に体の熱が一気に上昇した。

頭を掻き回して誰に対してでもない小さなため息を吐く。

酔いを覚ますためその場からゆっくり立ち上がって静かにその部屋を後にした。

101［頭を抱える夜］→←99［見透かして］

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す