もやもやとしたもの ページ50
・
ポストに入ったノートの存在に気が付いたのは次の日の学校の帰宅時だった。
家に帰ったときはじめにする事はポストの中を確認する事。
「…貸してたノート」
一週間前ぐらいに彼に貸してたノートだ。少しだけ表紙にシワがいっている。
借り物ならもう少し丁重に扱ってくれてもいいのに。
ノート片手に家のドアを引いて、ただいまを叫ぶ。
「おかえりなさい」
「ただいまー。」
お母さんを通り過ぎて自分の部屋へ向かう。
鞄を適当に置いてベッドに体を預けた。
まだ沖田とはまともに話せないでいた。
話そう話そうとチャレンジをするも、意識し過ぎて逆に何を話していいか分からない。
「どうすりゃいいのさ…」
景色の変わらない天井を、暫く眺めていると、ふと手に持っていたノートの存在に気付く。
何気無くパラパラとページを捲ってたどり着いたのは最後に授業を受けたページ。
こんなもの受けたなぁ、なんて懐かしく思っていると、不自然に付け足された言葉が。
『ごめん』
確かにそれは彼の文字で、それを目にした瞬間に私の時が止まる。
すべてを諦められた、そんな感じがした。
「んだよ…自分のした事に責任もてよ…」
そんな簡単に身を引かれて、構えてた私、馬鹿みたいじゃん。
アイツが何がしたかったのか分からないまま、モヤモヤを抱えたまま私はこれからを過ごす事になる。
なんだか分からないけど腹が立った。
こんなにお前のために悩んでんのに、こんなに話しかけようと頑張ってんのに
お前は普段通りで、こっちが馬鹿みたいで、悔しくて。
「どんだけ振り回したら気が済むんだよ!!馬鹿沖田ァァッ!!」
久しぶりに大声を出した。
久しぶりにアイツの名を呼んだ。
今の言葉にすべてを込めたような気がしてスッキリとした。
つっかえてたものが呆気なく外に飛び出した。
大丈夫な気がする。
明日から、普段通りに。
「…ノートの文句言ってやる。」
ぺいっとノートをその辺に投げ捨てて、助走を付けて起き上がると空っぽの胃をぶら下げながら下に降りていった。
そして大きく息を吸う。
「晩御飯何ーー?!」
・
____
一章目、無事終わりました。
長かったですね。
次章、お互いの気持ちに気づけたらなぁと思っております。
しかし、いつ二章目にいけるのやら…。
二人が無事に結ばれますように。
続編始動ォォォォォォ!
470人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百済(プロフ) - シナモンさん» 続編に突入させて頂きました!よければ読んでやってください…! (2018年3月24日 15時) (レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
シナモン - とっっっっても面白いです!更新待ってます! (2018年3月4日 18時) (レス) id: 65aef19a67 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!コメントとても励みになります!!今土台を作っております!頑張ります… (2017年8月1日 16時) (レス) id: bb23ef3dbe (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 凄く面白いです!次章も気になります!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 1847792d84 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - アルハさん» それは良かったです!! 少し多忙なので、それがひと段落ついたら第2章に進みたいと思っておりますので宜しくお願いしますm(_ _)m (2016年11月27日 22時) (レス) id: f608f6dd31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:百済 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時:2015年5月3日 18時