一冊の ページ23
*
「さてと、今日はだな。沖田よ」
机に頬杖をついて私の方を眺める沖田に指を指してやる。
そして背中に隠していた一冊のパンフレットを沖田の顔に貼り付けてやった。
「なんでィ、これ」
「水族館のパンフレットですが!」
そう、そのパンフレットは私が苦労して苦労して見つけてきたものだ。
どこに行ってもそのパンフレットがないもんで親に頼んで車で一時間かけてやっと見つけた
「行きたくねぇ」
「はい?」
「めんどくせぇ」
机に完全に突っ伏してしまった沖田の頭をパンフレットで叩きながら不満を垂れ流す。
せっかく割引券のついたパンフレットを見つけてきたのに。
「これは沖田の為なんだぞ」
「俺ァ頼んでねぇよ。他の人連れて行け、土方とか」
「なんで土方君なんですか」
「てか土方は君ついてんのかよ」
だって怖いし、なんて苦笑い浮かべれば背後に伸びる黒い影。
ぞわりと背中に寒気が走ってきた。自然に体は半回転し振り返る。
「誰が怖いって?」
「ひっ、土方様...いや、あの...これはですね」
鋭い双眸を前にして嘘などつけるか、馬鹿が。
ついたときにはもうこの世にいないからね、私。
すると沖田が何やら面白い事を思いついたと言わんばかりに起き上がった。
「A、土方さんの事怖くて嫌いなんですって」
「はぁぁぁ?!沖田!そんな事言ってねぇだろ!」
ばっと両手を広げて土方君を庇うように沖田を睨みつけたのだが
ニヤリと歪められた口に、もうダメだという諦めさえ出てきた。
「じゃあ大好きだそうです」
「沖田ァァァァ!」
それ以上土方君を怒らせないでェェェ!私が天に召してもいいのかコラ!
なんて内心で叫びつつゆっくり土方君の表情を伺った。
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百済(プロフ) - シナモンさん» 続編に突入させて頂きました!よければ読んでやってください…! (2018年3月24日 15時) (レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
シナモン - とっっっっても面白いです!更新待ってます! (2018年3月4日 18時) (レス) id: 65aef19a67 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!コメントとても励みになります!!今土台を作っております!頑張ります… (2017年8月1日 16時) (レス) id: bb23ef3dbe (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 凄く面白いです!次章も気になります!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 1847792d84 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - アルハさん» それは良かったです!! 少し多忙なので、それがひと段落ついたら第2章に進みたいと思っておりますので宜しくお願いしますm(_ _)m (2016年11月27日 22時) (レス) id: f608f6dd31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百済 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時:2015年5月3日 18時