相談相手は判断して決めろ ページ28
*
「そこにいんなら手伝えこの野郎」
安物のスリッパを履きこなして部屋を歩き回る天然パーマの男に
沖田はゆらゆらと揺れる白衣を虚ろ虚ろ眺めなからゆっくり口を開いた。
「先生、好きってなんですかねぇ...」
ばさばさ...と綺麗に積まれていた書類を銀八は思わず落としてしまった。
そして目を見開いて沖田を見据える。
「んだよ、急に」
落ちた書類を、よっこいしょという掛け声と同時に広いながら尋ねてみるが
暫く返事がないので不思議に思い沖田が寝転ぶ机へと視線を送った。
「先生なら不純な恋の一つや二つあるかなって思いましてね」
「オイコラ、人をなんだと思ってんだ」
こめかみを引き釣らせてずり落ちてきた眼鏡を長い指で押し上げる。
そして咥えていた煙草を指て挟んで抜き取り、ふーっと短く溜め息に似た煙を吐いた。
天井にまでのぼった煙はやがて空気中の物質達へとまざり跡形もなく消えて行った。
「...そうだなー。相手を思うと、こう...なんだ。
この辺があったかくなるっつーの?顔赤くなったり...とか。」
胸を抑えながら小首を傾げて探り探り言葉を選んでいく。
煙草からでる燃えかすが床へと落ちた。
「...好きだなって、思う人。」
「うわっ、大の大人が何言ってんでさァ」
引いてる、とでも言った方がいいのだろうか。
沖田の顔は銀八に向けて歪められ、軽蔑するように最後には鼻で笑った。
銀八は折角お前の質問に答えてやったのにと怒りに震えつつ耐えようとしたが
最後の鼻で笑われた事によりぷつん、と銀八の何かが切れる。
「テメェが聞いたんだろ!第一ここは恋愛相談所じゃあねぇんだよ!」
「えー、だって経験豊富な大人に聞いた方が速そうじゃないですか」
「邪魔はするわ、文句たらたらだわ...。もう満足だろ、用が済んだんなら帰った帰った」
しっしと銀八に居場所を奪われ渋々国語準備室から出ていく結果となってしまった。
まぁ、銀八に相談を持ちかけたのがそもそもの原因の一つか、と
廊下をだらりと歩きながら今度は自分に向けて鼻で笑った。
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百済(プロフ) - シナモンさん» 続編に突入させて頂きました!よければ読んでやってください…! (2018年3月24日 15時) (レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
シナモン - とっっっっても面白いです!更新待ってます! (2018年3月4日 18時) (レス) id: 65aef19a67 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!コメントとても励みになります!!今土台を作っております!頑張ります… (2017年8月1日 16時) (レス) id: bb23ef3dbe (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 凄く面白いです!次章も気になります!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 1847792d84 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - アルハさん» それは良かったです!! 少し多忙なので、それがひと段落ついたら第2章に進みたいと思っておりますので宜しくお願いしますm(_ _)m (2016年11月27日 22時) (レス) id: f608f6dd31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百済 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時:2015年5月3日 18時